「待ち人に花」
2006年8月30日発売
UPCH-5409 \1,100(税込)

静かに遠ざかる夏の夕暮れ、全ての待ち人に届く一輪の花・・・
どこまでもPOP、そしてROCKな四人組“蝉時雨”颯爽とデビュー。

【収録曲】
1)  待ち人に花  RealPlayerで試聴 WindowsMediaPlayerで試聴 
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2)  水玉モヨウ  RealPlayerで試聴 WindowsMediaPlayerで試聴 
作詞/作曲:中根大輔   編曲:蝉時雨/根岸孝旨

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●8/23(水)〜 レコ直♪ [着うた(R)][RBT]

清涼感のある歌声と伸びやかなメロディが特徴的なポップな音楽性を持つバンドだ。だけど、何かが変なのである。聴いていると色んなフックが絡み合って「?」の連続なのだ。例えば自由奔放な言葉遣い。外に飛び出して行きたいような、でも、ここで膝を抱えたままでいたいような、そんな矛盾した気持ち。突然ひねくれる曲の展開。軽やかで愛らしく跳ねるリズムの中に秘めた、4人の強靭なエネルギー。

デビュー・シングルとなる「待ち人に花」は蝉時雨がここから新しい世界の扉を開ける意志を、心地良くうねるギター・サウンドに乗せて鳴らした爽快アップ・ナンバーだ。「僕にも君にも色々事情があって、僕らはそんな待ち人だけど頑張ろうぜ」というメッセージが込められた今作。だけど一方で<どこにも行かないよ。>というフレーズがくっつき回っていて、ここが「前に進んでは行くけど、スタンスは変えないよ」という彼らの頑ななアイデンティティが伺えるところだ。いつだって、楽曲の中にユーモアとアイデアたっぷりの「?」を聴き手に振りまきながら、ポップなメロディとタフなサウンドでいくつもの「!」に変えていく。それが蝉時雨の堂々たる魅力なのだ。聴いていて、とにかく楽しい。しかも彼らは最初から人を楽しませてやろうと企んで音を着飾っているわけではなく、何か新しくて面白いことができないかと懸命に音を鳴らすことが自分たちを楽しくさせ、そして聴き手を興奮させているのだ。こんな風に本気で人を楽しませることができるロック・バンドは、素晴らしいと思う。

楽曲を手がけている中根大輔(ギター&ヴォーカル)がまた目立ちたいんだかシャイなのかどっちなんだよおい、と突っ込みたくなる複雑構造の持ち主で、心の中にはいつも孤独を抱えながら、その孤独に愉快な妄想で色付けをして曲にしてみたり、ライヴではステージ前方に飛び出してギターを得意げに弾いて見せながら目線は客席を向いておらず真横にそらしているのには思わず笑ってしまった。誰にだってある淋しさも怠け心も情けなさも、ほんとうは目立ちたいだとか誰かとコミュニケーションしたいっていう殻の奥にある気持ちも、シリアスにならずに、ポップで愛らしいパッケージで鳴らしている蝉時雨なのだ。

「一回聴いただけだと『何? この歌詞は?』って思うかもしれないんですけど」と中根も自覚しつつ「爽やかなイメージのシングルなんで、何故か耳に引っ掛かるメロディとか声とか、ぜひとも1度ならず、2度3度と聴いていただきたい」と自信たっぷり。このハテナマークの陰謀につかまったら最後、ずぶずぶと深い魅力にとりつかれてしまうはず。芯にあるこだわりと探究心もハンパじゃないバンドなので、今後も大きな広がりと成長を見せてくれることだろう。とてもワクワクしている。

<TEXT BY 上野三樹>