BIOGRAPHY

RAMMSTEIN



【メンバー】
ティル・リンデマン(Vo) / Tilll Lindemann
リチャード・Z・クラスペ(G) / Richard Z. .Kruspe
パウル・ランダース(G) / Paul Landers
オリヴァー・リーデル(B) / Oliver Riedel
クリストフ・ドゥーム・シュナイダー(Ds) / Christoph Doom Schneider
ドクター・クリスチャン・ロレンツ(Key) / Doktor Christian Lorenz

 面白がらせるバンドもいる。しかし、ラムシュタインは破壊する!

 音楽の世界に書き記されるべき伝説など、もうわずかしか残っていない。AC/DCやアイアン・メイデン、キッス、ブラック・サバス、レッド・ツェッペリンのようなバンドによって作り上げられてきた仕事を引き継ぐのを待っているようなホンモノのロック・モンスターも、わずかしかいない。わかった、もうキョロキョロ探すな。さあ、入ってこい。ラムシュタインの世界に入ってこい!

 15年のバンド史における6作目のスタジオ・アルバム『LIEBE IST FUR ALLE DA(LOVE IS THERE FOR ALL OF US)』を発表したラムシュタインは、ロックの歴史を書き換え、ついに伝説の中に自分たちの居場所を固める態勢に入っている。『LIEBE IST…』は音楽の離れ業的サウンドで、地球上の他のどんなバンドとも違っている。炎と雷鳴の中で作られたサウンドだと言われれば、ラムシュタインは放火魔的狂気の沙汰で知られているので,それが決して誇張ではないと納得できるはずだ。

 長年のプロデューサー、ヤコブ・ヘルナーと緊密なユニットとして仕事をしたこの最新アルバムは、『ROSENROT』から4年ぶり,完成に丸2年にわたる絶え間ない仕事を要し、6人のメンバーから生まれるユニークなダイナミズムをひとつに結び合わせたものになっている。『LIEBE IST…』を聞くと、これはひとりの有力メンバーのラムシュタイン観を実現させるためのものではなく──むしろ、まったくもってバンド民主主義の産物であるということが明らかになってくる。ここではあらゆる見解と個人のアイデアがまんべんなくすべて探求され、多くの場合途中で捨てられる前にちゃんとすべてレコーディングされているのである。

「誰もが対決を避けたがるけど、対決こそがラムシュタインらしさを生むんだ」とギタリストのパウル・ランダースは言う。「アイデアが不足していたから問題が起こったりレコードが出るのが遅くなったりしたわけじゃない。その反対さ……。オレたちにはいろんなスタイルの歌のアイデアやアイデアの断片が160以上もあったんだ! ずっと仕事を続けて40曲もレコーディングして、そこから最終的に12曲に削ぎ落とした。基本的にできた歌にワイヤーブラシをかけて、オレたちのコア・スタイルに合わないヤツを捨てていったのさ。そうやって、最終的にみんなの求めているラムシュタイン・サウンドが姿を現したんだ」

「オレだけでこの船を動かすことができたらはるかに簡単だろうけどな!」と、アルバム誕生の遅れについてギタリストのリチャード・クラスペは笑う。「一方で、ラムシュタインのレコードは他のヤツらの持ってくる違う観点なしには生まれ得ないってわかってるんだ。つねに妥協しなきゃならないんだから不満もたまるよ。ことに、自分には何が正しいかわかってるってときはね。だけど、ラムシュタインのメンバー全員がすごく重要だって必然的にわかってくるし、もしひとりでも欠けたら,それは真のラムシュタインのレコードにならないんだ」

 ドラマーのクリストフ・シュナイダーは言う。「民主的に仕事をすると、物事がきわめてシンプルになるときもあれば、ものすごく厄介になることもある──ことに、3人があるやり方でやりたがって、他の3人が違うやり方,って場合はね。自分たちが独自の小さな国を統治してるみたいに思えるときもあるよ」

 ベーシストのオリヴァー・リーデルは言う。「音楽は本来複雑なものであるわけがない。実際すごくシンプルなんだ。だけど、そのシンプルな部分を見つけるのがむずかしいんだよな!」

「ああ、オレはミニマリスティックな音楽が大好きだよ」と、ダイナミックな音楽はシンプルなビジョンから生み出されるというオリヴァーの意見に同意してリチャードは言う。「多くの人たちはギターを弾き始めたばかりの頃、ずっとソロばかりやりたがる。だけど、オレに言わせりゃいつだってリフのほうがソロを演るよりはるかに重要なんだ──リフにこそ歌の真のパワーや美しさがあるんだからね」

「シンプルなアーティストを聞くことの素晴らしさにはたまらないものがあるよ」とフラケはきっぱりと言う。「ジョニー・キャッシュやホワイト・ストライプスのような人たちさ。何かをとことん本質まで削ぎ落とすというのはほんとの自信の表れだよ。そして、それを6人の男たちでやるならものすごく力強い表明になる。それこそ、ラムシュタインがつねに音楽的に目指すべきことなんだ──何かを本質的要素まで削ぎ落とすってことがね」

 それにはパウルも同意見だ。「どんどん成熟しているのに、『過ぎたるは及ばざるがごとし』ということをかならずしも学ばないバンドもいる。U2なんか、たとえばボノは歌のすべてのパートを全部歌って、他のメンバーはずっと彼の背後に控えてる。オレの考えは違っていて──ちょっとポーズを取った方がもっと素晴らしくなると思うんだ」

『LIEBE IST…』についてラムシュタインのメンバーと話し合っていると、曲作りとレコーディングのプロセスが個々のメンバーにとって再結合と再発見の旅になったという意見が繰り返し出てくる。中には、方向性やビジョンに関する意見の相違ゆえに最後にラムシュタインそのものが残っているかどうかまるで確信が持てなかったというメンバーさえいた。

「出発点は……ともかく、オレたち、実際レコードを作らなくちゃならないのか?……ってところだった」とリチャードは認める。「最初、新しいアルバムをやることに誰も全然乗り気になってなくてさ。それから、誰もがすごく刺激される時期がやって来て、そしてそれからまた、必然的に誰ひとり刺激を受けない時期がやって来た。だから、ラムシュタインに関してオレたち全員が気に入ってるところを再発見するというのは、実にエモーショナルなジェットコースターだったね。正直なところ、オレたちはそれを完成させるつもりなのかどうかさえわかってなかったんだ。だけど、いちばん大切なのは、オレたちがまったくひとつのユニットとしてレコードを作ったってことで、実際ついに『このアルバムは完成だ,出かけて行って世界中に聞かせてやりたい』と言えるところに至ったってことなんだ。オレにとって今もっともやりたいのは、ふたたびステージに上がることなのさ」

「遅延の大部分は、基本的にオレたちがもう一度お互い一緒にやって行く術を学ばなくちゃならなかったからなんだ」とパウルは言う。「ラムシュタインのレコードを作るというのは本能的プロセスでなくていい、むしろもっと建設的なプロセスなんだ。オレたちはバンド内で対立があったときにどうすべきかを再学習しなくちゃならなかった。そして、そんな状況で仕事をすることに慣れるのに丸々もう一年かかっちゃったんだ!」

 リチャードが付け加える。「バンドの中に強烈な個性やキャラクターがいると紛争はつきものだよ。お互いを愛するのと同じように憎むんだからね。多くの痛みと苦しみ,口論をくぐり抜けなくちゃならない。話し合いを重ね、崩壊の危機や莫大な量の不満に耐えなくちゃならない──そういった感情のすべてがこのアルバム作りに注がれていった。実に厳しい旅だったよ。最終的にオレたちがやり遂げたってことに、いまだに驚いてるし感動しているよ」

 謎めいたオーラをまとったバンドというのがいるものだ。有名な例では、レッド・ツェッペリンなど、シングルを出すことを拒み、音楽だけを通じてのみファンとコミュニケートするという事実を強調すべくインタビューも受けず、そのオーラを最大の効果を上げるように使っていた。インターネットの時代にありながら、ラムシュタインもこうした選択的アクセスの達人である──それは母国ドイツですべての作品をレコーディングするという揺るぎない主張に裏付けられており、ドイツ語を話さない人々にとっては異国情緒を高めるものだ。だったら神秘性を利用することが何よりなのだ。

 オリヴァーは言う。「たしかにオレたちは全然メインストリームのバンドじゃないし、間違いなくふんだんなパブリシティをもらったりしていないよ。だけど、ほんとに面白いビデオを作ろうとはしているんだ。それがオレたちの神秘性に多くのものを加えているんだと思う。それと、オレたちがひとつのハッキリしたプランに動かされているバンドだっていう事実だね。そういうのって,最近じゃすごく珍しいから。つまり、外から見てる人たちにとって、オレたちはすごく異国的なものとして映るってことなんだよ」
「ほんとにウンザリするのは、なんにも発見するもののないバンドさ──すべてを目の前に突き出して、イマジネーションの入り込む余地すらないようなバンド。ラムシュタインはそんなことはしない。だからこそ、オレたちのあとを追いかけるのは冒険そのものなんだ」とベーシストは続ける。

 キーボーディストの"フラケ"ロレンツも加える。「オレたちはつねにラムシュタインをひとつの芸術作品として扱うよう努力して来た──アルバムのアートワークからビデオ、ステージ・ショーに至るまで、ひとつのアルバム・サイクルのすべてが完全な一作品の部分でなくてはならないんだ。実のところ、そういった努力をしているバンドはもうあんまりたくさんいないのさ……」

「こういう神秘性っていうのは、まずオレたちが強力でダークな要素を使って音楽を書くってところから始まったんだ」とリチャードが説明する。「歌詞はいつもダークだし、人間としてのオレたちの中にそうしたダークな要素があるんだって感じてる。だから,そいつが自然と出てきてるんだ。キャリアを積むに従って、自分たちの歌を分析しすぎたり、自分たちに関する細かなことまで明らかにしたりする必要はないんだってわかってきたよ。だから、今なぜオレたちがある意味ミステリアスな存在と思われているのか、オレには理解できるんだ」

 素晴らしい歌詞のテーマは、もちろんしばしばラムシュタインが得意とすることのもっとも重要な部分であったりする。そして、たしかに『LIEBE IST…』にはことにそういう面で2、3の際立った曲が含まれている。「WIENER BLUT」は恐ろしい秘密を持った隠れ変質者の物語にきわめて似たところがあるので多くの人々の顰蹙を買いそうな曲だ。

「ああそうだ。"WIENER BLUT"は誰にでも当てはめられると思うけど、明らかにジョセフ・フリッツェルにインスパイアされているんだ」とリチャードは笑う。「ダーク・サイドを歩いているアーティストとして、ああいう実話が世界文化の表層に浮上してくると、その出来事を使って歌を作ることこそオレたちの仕事だと思っちゃうんだよね!」
{ジョセフ・フリッツェル=近親相姦で実の娘に6人の子供を産ませていたオーストリア人男性}

 ニュー・アルバムにはラムシュタイン・ファンにショックを与えるようなものがあるかと問われて、シュナイダーはじっくり考え込む。「『ショッキング』ということ自体よくわからないんだけど、音楽面では新しい展開がいくつかあるよ。新しいドラムのアイデアや、これまでのラムシュタインのレコードと比べるとすごく違ったリズムがある。それに、オレたちが今までにレコーでイングした中でもっともヘヴィな曲もあるし、『シャンソン』の要素が入った曲もあるし、ボーカル面では歌詞だけに関わらずいろんなものが込められているんだ。それに、歌で描写する登場人物に従って声を変えるというティルの能力も上がったし……」

 パウルもバンドの歌詞の内容を解読するとなると故意に謎めいた立場を取る。「歌詞について率直に話すのはあんまり居心地よくないね。歌詞を解釈する方法は実にたくさんあるけど、まだ誰もティル(・リンデマン。バンドの激烈なボーカリスト)が何を考えているのか知りたいと思っちゃいないんだ。でも、人々は自分なりに歌詞を解釈すべきだって、オレたちラムシュタインの全員が信じてる」

 実際、ティルの頭の中で何が起こっているかほんとに知りたいと思う人なんているだろうか。それは、たとえ殺人バラード「ICH TU DIR WEH」のように、優しいと思われるような瞬間でさえ危険な場所なのだ。リスナーは忍び寄ってくる不安をさっぱりと振り払うことができないのだから。「なあ、バンドにいるオレだって、時々彼が書いたことを思って怖くなるんだからな!」とパウルがふざける。

「他の人たちがオレたちのやってることを解釈したり誤解したりしているのは面白いよ、ことに歌詞に関してね」と"フラケ"は笑う。「思い出すのは、ベルリンで大きなファミリー・ナイトを計画したときのことなんだけど、みんなして有名なドイツ人女優が歌手に転向したのを見に行ったんだ。すると,その夜に限って彼女はラムシュタインの歌をクラシックなスタイルでフルで歌ったんだよ。だけど,オレたちがオペラハウスに到着すると、歌詞が『あまりにも攻撃的すぎる』からってオレの子供たちを中に入れてくれないんだ!」

 シュナイダーは『LIEVE IST…』に関する歌詞のヒントを探している人に対して、このような見解を述べる。「もっとも重要なテーマがひとつあるとしたら、それは愛の極端な形を見つめること、だね……」

 それがこのラムシュタインのアルバムについてあなたが知る必要のあるすべてのことを語っているはずだ!

 ラムシュタインの旅を追いかけている人なら誰もが知っているように、バンドが真にファンとつながるのはライブ・アリーナで、なのである。パイロの山に、火炎放射器に、バズーカに……小さな国を倒すことができそうなほどの武器である。今回、このミュージシャンたちは巧妙に演出されたカオスの達人というすでに確立された名声を上回るようなことを狙っているそうで、誰ひとりガッカリして帰らせはしないと約束している。

「バンドの中には間違いなくファンが今までに見たことのないことをやってのけようという意志があるし、もちろん前回のショーを上回るものでなくちゃならない。後退なんて許されないからね。オレたち自身許さないし、オーディエンスも許しちゃくれないよ!」とフラケは笑う。「『LIEBE IST…』の全曲がライブでプレイされることになるはずだよ。スタジオでこの歌に取り組んでいる間、オレたち全員どうやってライブという形に変えて行くかを考えていたんだ。結局、このアルバムの最終的な歌の選択は、いかにライブでうまく行く曲かってことに影響されたと思うよ」とキーボーディストは明かす。

 そんなライブ体験があってこそラムシュタインの復帰は完全なものになる……そう、毎晩のようにステージでティルによって「料理され」、あるいは爆発するディルドによって「イカされて」きた男から活躍の場を奪うことなどできないのだ。……「ありえないぜ! オレをラムシュタインから追い出すことはできないんだ。そしたらライブ体験はうまく行きっこないからな。つまり、いつだってラムシュタインのステージ上では誰かがぶっ飛ばされる必要があるってことさ!」