[序]
松は、昨年の暮れあたりに新しく購入したシンセを使って、自分なりに曲づくりをはじめていた。約20曲、書きためた曲は、どの曲も等身大で、松たか子をイメージする事がすぐ出来るような曲ばかりで、セレクトするのが苦しくなる程だった。
[実作業スタート]
5月30日に、まず、そのセレクト作業から今回のレコーディングは始まった。
約1年ぶりのレコーディング。武部氏、松、共にあまりスケジュールのない中、その調整は難しく、プリプロは、深夜24時からスタートするという日もあったが、それでも、集中力切れずに作業が進むというのは、このチームならではである。
6月14日〜6月30日の約2週間で、都内スタジオに入ってのレコーディング。当初は、生リズムで行う予定だったが、プリプロの段階で打ち込みに変わった為、ミュージシャンは、Key武部氏、Gt鳥山氏のみの参加となった。
前回からのなじみもあり、作家である松の希望、意見を汲み取りつつ、作業をスムーズに進める2人はとても頼もしかった。(たまに夫婦に見える時もある位!。夫=武部氏、妻=鳥山氏)
[作家「松 たか子」の誕生]
録音作業に参加しつつも、片や、詩の作成にも励む松は、レコーディングが佳境に入った頃、プレッシャーからか、ストレスからか、いつもきれいなおでこに4つのブツブツを作っていた。6月30日のレコーディング最終日には、ブツブツも絶好調!!しかし、ここに、松たか子作家第1弾作品(詩・曲ともに本人の作品がシングルになるのは初めてだ!)が誕生。同時にシンガーソングライター「松たか子」の誕生でもあった。そして、そんなブツブツをつくったまま、舞台(ラ・マンチャの男)の稽古場に向かった松であった。
※ちなみに、今は、また、いつものきれいなおでこに戻りました。
[今回のレコーディングを支えてくれた武部さんと丸山さんより]
◆Key/Arranger武部聡志さん
一年ぶりにスタートした松くんのレコーディング。今回は彼女がこの一年間忙しい中作ってきた曲を形にする作業から始まりました。書きためた20曲の中から、セレクトした一番彼女らしいメロディー、そして新しい「松たか子」にふさわしいサウンドを作るべく、プリプロを繰り返し出来上がった2曲はどちらも自信作です。
前作の「アイノトビラ」と全く同じスタッフ、ミュージシャンで和気あいあいとそれでも気合いの入ったスタジオワーク。松くんの手料理(なんと仔羊のグリル!!)を食べたり、幸四郎さんからの差し入れのステーキサンド!を食べたり、食生活の充実したレコーディングだったなー。
こうして作った2曲が秋にはTVやラジオや色々なところから流れてくるのを、楽しみにしています。
*武部聡志/1957年2月12日東京生まれ。国立音楽大学卒業。1983年より松任谷由実コンサートツアーの音楽監督を担当。1990年KATSUMIのデビュー時からプロデュースし本格的にプロデューサーとしての活動を始める。最近では吉田拓郎、SURFACE、山口由子etc...のプロデュースワーク、フジテレビ系ドラマ「Beach
Boys」「ボーイハント」「OVER TIME」etc...の音楽担当、TBS系「日本レコード大賞」音楽監修、フジテレビ系「LOVELOVEあいしてる」サウンドプロデューサー&バンドマスターとして出演中。
◆ Director丸山なごみさん
Director丸山なごみです。歌ってふかいのです。最初に松さんのVocalを録った時、「小鳥がさえずるような声」ってこういうことなんだ....と感じたのを覚えています。あれから3年、今回のレコーディングで感じたのは、やはり自分自身の楽曲なので、歌のもつイメージをより明確にとらえる松さん。そして、歌に"情感"を感じました。
少し、大人になった彼女の情感あふれる歌を聞いて下さい。特に3曲目のアコースティックヴァージョンはピアノと同録の一発どり!!です。
コンピューターで歌をはりつけてしまう人々が多い今日この頃。正真正銘の生歌(なまうた)です。彼女の息づかいが聞こえるような歌をこれからもお届けしたいと思います。
* 丸山なごみ/ソニーレコード入社後、営業部から制作部を経て、1988年フリーのディレクターとなる。松とは、デビュー以来、仕事をしています。
[ エピソード 1 ]
武部さんのわがまま.....
武部さんは、歌と一緒に弾いて録った素晴らしいピアノを後日ひとりで勝手にやり直す事がある。
もっと良いピアノにしようということなのだろうが、ディレクターの丸山さんにすぐばれて叱られる。今回もとっても良く仕上がってきているところで(9/22のsingleに収録されている)、どうしてもやり直したかったらしく、「僕、今回も一生懸命ちゃんとやってるよね?」とみんなに自分をアピールしつつ、「だからご褒美でピアノをやり直していい?」と言い始めた。
そこですかさず丸山さん、「ダメです。一発でやってるんですから。ピアノが変わると歌の感じも変わってきちゃうし。悪いところはどこもありま
せんよ。」さすが男らしさでは有名な丸山さん(性別は女性)に武部さんは納得したようだった。
でも、きっとまたこの先も同じ会話が交わされることだろう。
(文/レコーディングスタッフ)
[ エピソード 2 ]
レコーディングスタジオで "ラム"を食べた日。
じとっとした天気の日だった。今日もまじめなDirector丸山はレコーディング開始30分前に、スタジオに到着。すると、なんと松さんがすでに私達が使うスタジオの前の小部屋でスタンバッていた。なにやら大きいタッパウエア。お腹がすいている私には....ムムム....まさか、これは、昨日話していたラムのブロック焼きでは...?と期待が盛り上がった。武部氏も到着して、そのタッパウエアに目がいき、「早く食べようよ!暖かいうちがおいしいよ、きっと!」(武部氏)。「えっ?そ、そうですか?でも自信ないなあ。みんなのお腹痛くなったらどーしよー...。そうだガンコさん(私、丸山の旧名..松さんは、呼び方を変えてくれない....)お毒味して下さい!!」(松)
「?...ええ...喜んで?!」(丸山) ラムは確かに美味しかったし、誰もお腹痛くならなかったです。はい。
(文/丸山なごみ)
producer 松たか子 arranger/keyboard 武部聡志
director 丸山なごみ guitar 鳥山雄司
engineer 吉田睦・三浦瑞生 A&R 加瀬丈裕
A&R manager 直井里美(パパドゥ)
executive producer 多賀英典 山田美千代(パパドゥ)
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