BIOGRAPHY

Lang Lang ラン・ラン (ピアノ)


 

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音楽家として、男性として、その世界観について、ラン・ランとふれあった人たちが彼について一つの言葉を当てはめるなら、「インスピレーション」である。それが、ラン・ランの人生と経歴を通して音楽の主題のように響きわたっている。ラン・ランは、おおらかで感情豊かな演奏によって何百万という人びとをインスパイアしてきた。それは、こじんまりしたリサイタルでも大舞台でも変わらない。華やかな舞台は、2014FIFAワールドカップ決勝を祝してリオ・デ・ジャネイロで行われたプラシド・ドミンゴとのコンサート、第56回および第57回に連続出演してメタリカ、ファレル・ウィリアムスと共演したグラミー賞授賞式、全世界で40億人の人々が彼の演奏を見守った2008年北京オリンピックの開会式、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにおけるBBCプロムスのラスト・ナイトなど、枚挙に暇がない。シャルル・デュトワが指揮するフィラデルフィア管弦楽団と共演したリスト生誕200年を祝うコンサートの模様は、全米で300館、ヨーロッパ各地で200以上の映画館にライヴ中継された(クラシックのソリストとしては初めて)。
長年にわたって共演している世界的なアーティストは、ダニエル・バレンボイム、グスターボ・ドゥダメル、サー・サイモン・ラトルといった指揮者から、ダブステップダンサーのNONSTOPことマーキューズ・スコット、甘い歌声の帝王フリオ・イグレシアス、ジャズの巨人ハービー・ハンコックなどクラシック音楽以外の世界にも及ぶ。クラシック音楽を誰よりも多くの人に届けるために多くの企業とのつながりも持っている。そして、ラン・ランは、中国の音楽を西洋の聴衆に、西洋音楽を中国の聴衆に積極的に紹介して、文化の懸け橋ともなっている。
3歳でピアノを始め、瀋陽コンクールに優勝して、5歳にして初のリサイタルを開いた。9歳で北京中央音楽院に入学、若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクールに優勝。13歳のとき、北京音楽庁でショパンの練習曲全曲を演奏した。フィラデルフィアのカーティス音楽院に留学して偉大なピアニストにして教師であるゲイリー・グラフマンに師事。17歳でシカゴ交響楽団「世紀のガラ・コンサート」に急遽代演して劇的なデビューを飾った。
ラン・ランは、自分が最初にインスパイアされた、そして今もインスパイアするものを決して忘れることはない。偉大な芸術家、中でもリストやショパンをはじめとする偉大な作曲家である。ラン・ランは、今もこうした作曲家たちの音楽を、喜びをもって聴衆に伝えている。彼は、幼い頃にかの有名な古典的アニメーション「トムとジェリー」の「猫の演奏会」で、リストの音楽と初めて出会った。子供が音楽を発見したときの興奮は今も彼のうちに息づいており、「ぼくの第二の仕事」と呼ぶ世界の子供たちに音楽をもたらす活動の原動力となっている。すなわち、グローバルな教育に重点を置いた国連親善大使としての仕事、そして自分自身のラン・ラン国際音楽財団を通しての活動である。ラン・ランは、人々をインスパイアすると同時に、自身もインスパイアされている。

「タイム」誌は、ラン・ランを中国の若い世代のシンボルと評価し、その将来性も認めて「世界で最も影響力のある100人」に選んだ。深圳および瀋陽の文化大使にも任命されている。そして、中国でピアノを学ぶ子供が急増していることについては、たとえそれだけではないとしても、ラン・ランがロールモデルとして果たした役割は小さくない。アメリカのニュース番組「トゥデイ・ショー」が「ラン・ラン効果」と名付けた現象である。スタインウェイ&サンズ社は、同社史上初めてアーティストの名前を冠した「ラン・ラン・ピアノ」を、子供の学習用モデルとして中国向けに発表した。
そして、ラン・ランは子供だった自分を忘れることがないのだろう、子供たちに還元することを大切にしてきた。才能のある子供たちを指導し、100人の学生を集めたコンサートを開き、そして、ラン・ラン国際音楽財団は次代のトップ・ピアニストの育成、最先端の技術による音楽教育、そして若い聴衆の開拓に力を尽くしている。これまでに、世界経済フォーラムから若手グローバル・リーダー250人に選ばれ、英国王立音楽大学、マンハッタン音楽院およびニューヨーク大学から名誉音楽博士号を授与され、中華人民共和国文化部より最高位の顕彰、ドイツよりメリット勲章、フランスより芸術文化勲章を授与されている。また、歴史上初めて、パリのヴェルサイユ宮殿の大使となった。

ラン・ランは、録音の分野でも圧倒的な活躍をみせ、もっとも大きな注目を集めているアーティストのひとりである。ゴールデン・グローブ音楽賞に輝いた『ペインテッド・ヴェール ある貴婦人の過ち』(音楽:アレクサンドル・デスプラ)など、さまざまな映画のサウンドトラックに参加。これまでリリースしたすべてのアルバムが、各地のクラシック・チャートでトップ入りを果たし、多くのポップス・チャートにも登場している。2007年には、中国人アーティストとして初めて、グラミー賞の最優秀器楽ソリスト部門にノミネートされた。このほか、大ヒットを記録した日本映画『のだめカンタービレ 最終楽章』の演奏吹き替えや、最高の人気を誇るドライビング・シミュレーション・ゲーム「グランツーリスモ」のオープニング・シーンの楽曲演奏などを担当。また2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のテーマ音楽を演奏している。