ティルブレナー/ブルー・アイド・ソウル
ティル・ブレナー/ブルー・アイド・ソウル
2001/2/21 日本先行発売 UCCV-1022 \2,548(税込)

>> 「JAZZ SEEN/カメラが聴いたジャズ」オリジナル・サウンドトラック
 
端正なマスクと甘いヴォーカル、そして抜群の情感を持ったプレイで、チェット・ベイカーの再来として人気を集める、ドイツのトランペット奏者ティル・ブレナー。絶賛を集めたチェット・ベイカー・トリビュート作『チャッティン・ウィズ・チェット』以来、2年ぶりとなる待望のニュー・アルバムは、ティルのオリジナル楽曲を中心にした、これまで以上にアーバンでスタイリッシュな作品。
ほぼ全編にわたり、ファンクのリズムとターンテーブルによるサウンド・エフェクトを大胆に導入。
アコースティックとエレクトリックが絶妙にブレンドしたサウンドは、まさに「新世代のジャズ」。ビリー・ジョエルのヒット曲「素顔のままで」の渋いカヴァーや、近年クラブ・リスナーから注目を集めるカリスマ的シンガー、マーク・マーフィーのゲスト参加も話題です。

■収録曲

01)イントロ
02)トラック・ワン ♪Real Audio
03)ディアヴォロ
04)ブルー・アイド・ソウル ♪Real Audio
05)ノー・フュージョン・ジェレネーション
06)42nd + 6th
07)タブ・オブ・ラヴ
08)素顔のままで ♪Real Audio
09)ラヴ・サムバディ
10)トラッシュ(インタールード)
11)ジャズ・ミュージシャン
12)オスカー・セッド Featuring デヴィッド・フリードマン
13)リヴェランド・ヘンリー(インタールード)
14)ディム・ザ・ライツ Featuring マーク・マーフィー ♪Real Audio
15)バニズム(アウトロ) 
16)ジャズ・ミュージシャン(ハウス・ヴァージョン)* 
17)ブルー・セル・フォン Featuring マーク・マーフィー *
 *ボーナス・トラック

■パーソネル
ティル・ブレナー(tp, flh, vo, p, programming, etc)
サモン・カワムラ(turntables, drum programming, etc)
ヘンリー・ヘイ(p, key, org)
ティモシー・レフェーヴル(b)
ロベルト・ディ・ジョイア(b, etc)
ロロ・ロドリゲス(per)
ピノ・ブレナー(cymbals)
デヴィッド・フリードマン(vib) on K
マーク・マーフィー(vo) on M、P

★ベルリン、バム・バム・ミュージック及び
NY、ヘンリーズ・プレイスにて録音

Produced by Till Bronner & Samon Kawamura


■Biography
 1971年5月6日ドイツ生まれ。由緒ある音楽一家に生まれ、9歳の時にトランペットを始める。クラシックの訓練を積み、「ユーゲント・ムズツィアート」などさまざまなコンテストで優勝。15歳の時にはクラシックに留まらず、ジャズのコンテストでも優勝し、それ以降は連邦ジャズ・オーケストラに最年少メンバーとして参加。一方、ケルン音楽大学でトランペットを専攻し、弱冠20歳でベルリンを拠点に活動するホルスト・ヤンコフスキー・オーケストラのビッグバンドのメンバーとなる。

1993年には、初リーダー作『ジェネレーション・オブ・ジャズ』(Minor Music)を発表。この作品には、伝説的ベーシストのレイ・ブラウンが参加している。さらに『マイ・シークレット・ラヴ』(1995/同)、『ジャーマン・ソングス』(1996/同)と立て続けにリーダー作を発表。大編成のストリングス・オーケストラとの共演作である『ジャーマン・ソングス』では、旧ドイツの古い映画音楽を新鮮なアレンジによって蘇らせ、ドイツ国内で絶賛を浴びた。続く『ミッドナイト』(1997/BMG)では、デニス・チェンバース(ds)やアンソニー・ジャクソン(b)、マイケル・ブレッカー(ts)といった実力派を迎え、グルーヴィーな作品を完成させた。

そして、1999年5月にヴァーヴ移籍第一弾作『love』が日本発売される(海外では1998年9月発売)。この作品は、端正で優雅なミュート・トランペットと、ヴェルヴェットのようなヴォーカルをフィーチュアしたバラード・アルバム。本格的な日本デビュー作となったこの作品は、スイングジャーナル誌選定〈GOLD DISC〉に選ばれ、一躍日本のジャズ・ファンにその名を知らしめることとなった。また、その年の同誌主催のジャズ・ディスク大賞では〈ニュー・スター賞〉も獲得した。

2000年4月にリリースした『チャッティン・ウィズ・チェット』は、敬愛するチェット・ベイカーへのトリビュート・アルバム(前作に引き続き、スイングジャーナル誌選定〈GOLD DISC〉を獲得)。この作品では、ドラムンベースやファンク・ビートを大胆に取り入れ、チェットの音楽をフレッシュな感性で蘇らせ、ジャズ・ファン以外にも大いにアピールした。同年7月には大阪フェニックスホールにて、日本での初のジャズ・コンサートも実現させている。

元ベルリン・ドイツ交響楽団の首席トランペット奏者であり、クラシックの分野でも評価は高いが、現在はジャズに専念。ヨーロッパや日本のみならず、近年はアメリカでも注目されはじめており、今後ますますの活躍が期待されるトランペッターである。
 

■Discography
1993年 『ジェネレーション・オブ・ジャズ』(Minor Music)
1995年 『マイ・シークレット・ラヴ』(Minor Music)
1996年 『ジャーマン・ソングス』(Minor Music)
1997年 『ミッドナイト』(BMG)
1998年 『love』(Verve)
2000年 『チャッティン・ウィズ・チェット』(Verve)
2001年 『JAZZ SEEN/カメラが聴いたジャズ オリジナル・サウンドトラック』(Verve)
2002年 『ブルー・アイド・ソウル』(Verve)

『love』
POCJ-1442
『チャッティン・ウィズ・チェット』
POCJ-1479

■主な受賞歴
1984年(12才) ユーゲント・ムジツィーアト 優勝
……ドイツ国内で最も有名な、クラシックの若手演奏家のコンテスト
1986年(15才) ユーゲント・ジャズト 優勝
……ドイツ国内で最も有名な、ジャズの若手演奏家のコンテスト
1993年(21才) ドイツ批評家賞
ドイツ・レコード業界賞
……デビュー作『ジェネレーション・オブ・ジャズ』に対して受賞
1999年(28才) ジャーマン・フォノ・アカデミー ジャズ大賞
スイングジャーナル主催ジャズ・ディスク大賞 ニュー・スター賞
…… Verve移籍第1弾『love』に対して受賞

 
 ティル・ブレナーが今作『ブルー・アイド・ソウル』で、また今までと違う横顔を見せてきたので、目を見張らずにはいられなかった。『love』でドイツの森から聴こえてくるような霧に包まれた音色でバラードを演奏し(実際にはマイルスも好んだハーマン・ミュートで演奏していた)、私たちを魅了したかと思えば、Verve移籍第2作の『チャッティン・ウィズ・チェット』では、歌えるトランペッターとして比較されて困ると語っていたチェット・ベイカーのレパートリーを真っ向から取りあげ、存分に歌を聴かせて、ターンテーブルやサンプリングを取り入れた彼にしかできない斬新なチェット・ベイカー解釈で、かえってティル自身の独自性を謳っていたからだ。続く新作に彼の歌を期待する人は多かったし、もっとゴリゴリのジャズを期待する人もいたが、ティルは(今までの5作品がそうであったように)このニュー・アルバムでまた異なる挑戦を成し遂げていた。

 新たなコンセプトは、タイトルにもなっている『ブルー・アイド・ソウル』だった。
ヨーロッパ系の人が元来アフリカ系の人々のものであるソウル、R&Bを演奏するときに使われるその言葉。といっても、いわゆるソウルものよりぐっとクールな響きをもち、よくあるブルー・アイド・ソウル作品より、客観的にサウンドをつかまえたこの作品。その音楽は、クラブ・シーンでも受けようかといったコマーシャルな策略とは無縁で、ティル・ブレナーの精魂がこめられたていねいでモダンなその作りに、彼のオネスティと現代性を感じるばかりだった。私としては、期待通りのものを作ってくるミュージシャンは腕は一流でも独自性に欠けると思っているから、人の期待を超えた作品を届けてくるとはさすがティルと、益々ティル贔屓に拍車を掛けた本作だった。

 クラシック畑とジャズを行き来して活動してきた音楽家といっても、ティルは今30歳だからヒップ・ホップを聴いて育った世代でもある。この『ブルー・アイド・ソウル』はその影響を自身のものとして開花させ、彼の音楽経験のすべてを凝縮した作品といっても過言ではなかった。常々「音楽をジャンルで細分化することなく、大きく音楽として捉えていきたい」と語っていたティルの言葉を思い出し、今作の切り口も広大な彼のヴィジョンのひとつであることを頼もしく思った。

 ターンテーブルの使い方は前作を超え、自身の歌は1曲にとどめてマーク・マーフィーをゲスト・ヴォーカルに迎えた『ブルー・アイド・ソウル』。大きくフィーチャーされる彼のトランペットとフリューゲルホーンは、更に見事な腕前で鳴っていた。ビリー・ジョエルの〈素顔のままで〉がいい例だけれど、ゆっくりしたテンポで演奏されるこの曲には心地よいグルーヴがあり、ティルのフリューゲルホーンの優しく神秘的なひびきが、日頃の疲れを穏やかに溶かし、新たなエネルギーを送り込んでくるようだった。

中川ヨウ/Yo Nakagawa(ライナーノーツより抜粋)

 




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