BIOGRAPHY

1999年インディ・レーベルで活動開始、2003年メジャー・デビュー。そのキャリアは20年間に亘り、アルバム売上数は1千万枚。ジェイミー・カラムは、世界中に熱心なファンがいる、優れたミュージシャンである。そのエキサイティングなライヴには定評があり、ハービー・ハンコック、ファレル・ウィリアムス、ケンドリック・ラマー、ラン・ランなど幅広いジャンルのアーティストと共演歴がある。

メジャー・デビュー・アルバム『ジェイミー・カラム』(原題:Twentysomething)は第47回グラミー賞「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム」にノミネート。2009年映画『グラン・トリノ』(監督・主演:クリント・イーストウッド)に提供した曲「グラン・トリノ」はゴールデングローブ賞「主題歌賞」にノミネート。ブリット・アワードでもノミネート歴があり、数々のジャズのアワードを受賞している。

また、BBC Radio 2で放送中のラジオ番組も大好評で、Parliamentary Jazz Awardsで「Jazz Broadcaster of the Year」を、Radio Academy Awardsで「Best Music Programme」を受賞している。
  
  

<ロング・ヴァージョン>

ジェイミー・カラムは、世界の隅々にまでに熱心なファンを持つ、世界的に有名なミュージシャンだ。過去18年間に彼が行ってきたライヴは伝説的な語り草となっており、ハービー・ハンコックから、ケンドリック・ラマー、セイント・ヴィンセント、ラン・ランまで、多彩なアーティスト達と共に、様々なフェスティバルに出演してきた。レコーディング・キャリアでも長きにわたる成功を収めており、これまでに8作のアルバムを発表。さらに音楽番組のパーソナリティとしてしても数々の賞を受賞しており、その地位を確立。音楽ファンの一学生として出発した当初と同じように、ジェイミーはどの分野の仕事に対しても、無限の創造性と熱意を以ってアプローチしている。

学生ローンを利用して、彼が初のLP『Heard It All Before』をレコーディングしたのは、現在の半分の年齢だった頃のこと。週に4、5回のライヴを行いながら学費を稼ぎ、様々なアンダーグラウンドのロック・バンドで活動していた彼は、そこで必要とされるあらゆる楽器をこなすように。ジェイミーのキャリアにおいてはその当時から、才能と運に加え、身を粉にして働くということが、揺るぎない特質となっていた。

メジャー・レーベルでの飛躍作となった『ジェイミー・カラム(原題:Twentysomething)』と、それに続く『キャッチング・テイルズ』が成功を収めたことにより、ブリット・アワードやグラミー賞をはじめとする世界各国の無数の音楽賞にノミネートされたジェイミー。だが、この2作のプロモーションのため、休むことなく5年間を費やしたことによってもたらされた最も重要な成果は、真の意味でグローバルな、誰もが羨むライヴ・キャリアである。ジェイミーのワールド・ツアーは40ヶ国以上で行われ、その殆どすべての国々を彼は何度も再訪。彼のライヴを見たことがある人なら、現在活動中の数多のライヴ・エンターテイナー勢の中でも、彼はトップ・クラスに属するという主張に反論するのは難しいはずだ。シンガポールから、殆どあらゆる場所を経由し、サンパウロに至るまで、彼のライヴの評判は今も高まり続ける一方だが、その評価が最高潮に達したのは、かの有名な“サマセットの泥風呂”ことグラストンベリーの舞台で、長年抱き続けていた野望が満たされた時であった。「この世界に入ってから18年目にして、グラストンベリー・フェスティバルのピラミッド・ステージに立ってライヴを行ったことは、僕のキャリアにおけるハイライトだったよ。僕が到達できる限りの最高レベルの演奏技術と、長年の努力で築き上げてきたステージングとを融合させるというのは、ずっと心に秘めてきた密かな目標だったんだ。例えばドクター・ジョンや、プリンス、ジェームス・ブラウン、ベン・フォールズ、ザ・ルーツといった、僕自身が成長過程で目の当たりにしてきた様々なアーティストのようにね」

またジェイミーは、自身のお気に入りフェスで、ゲスト・ディレクターを務めてもいる。ロイヤル・アルバート・ホールで二度にわたって開催されたBBCプロムスのオーケストラ・スペシャルや、ハリウッド・ボウルで行われたLAフィル・ハーモニックとの共演、そしてロンドン・フォーラムでのジャズ&ドラムンベース・ナイトといった数々の素晴らしい公演で、彼はプロデュースを担当した。

創造面において、ジェイミーは昔からずっと同業の仲間たちから非常に高い評価を受けており、様々な伝説的アーティスト達が、老いも若きも、彼とコラボしたり、もしくは単に音楽について語ったりするため、彼のもとを訪れている。彼がこれまでに録音してきた作品は常に、オリジナル曲と、お気に入りのジャズ・ナンバー、そしてコンテンポラリーな曲に独自の手を加えたものの混在となっている。「コラボレーションを行いながらクリエイターとして成長する自由というのは、僕のキャリアの中でも最もエキサイティングな側面なんだ。例えば、ヨーロッパ各地のエレクトロニック・ミュージック・フェスで、数ヶ月間にわたってハウス・ミュージックのインプロ(即興演奏)をやったり、映画用の曲を書いたり、自分が憧れてきた人たちにインタビューしたりね。ファレル・ウィリアムスから、クレイグ・デイヴィッド、デル・ザ・ファンキー・ホモサピエンまでと曲作りでコラボしたりもしたし。ある日バート・バカラックとデュエットしたかと思えば、次にはスパイナル・タップとステージで共演したりもしたしね! そういったことのおかげで、すべてがいつも常に新鮮で、エキサイティングであり続けているんだ」

ジェイミーが最も大切に温めてきた野心の一つに、映画音楽への取り組みがある。映画に対する彼の関心は根強いもので、レディング大学では映画と英文学を学び、首席で卒業。最も注目に値するのは、映画用に新たに依頼された仕事の数々で、彼にとってディズニーとの初仕事となった、映画『ルイスと未来泥棒(原題:Meet The Robinsons)』の他、最も最近では、2018年公開の(※英国史上最高額の強盗事件を元にした)泥棒映画『King of Thieves』のエンドロールで流れる曲「ザ・マン」を担当。また最も有名なところでは、クリント・イーストウッドが監督・主演した、受賞映画『グラン・トリノ(原題:Gran Torino)』のスコアでコラボを行っている。

ジェイミーはそれ以外にも、文筆活動や、写真、デザインに情熱を傾けており、それに触発される形で、これまでに2冊の豪華ムック本『The Eighty-Eight』を刊行。ファンだけでなく純粋に好奇心を掻き立てられた人々が購入し、即完売となった。アナログ世界に対して途方もない情熱を示している一方、彼は同じ様に、デジタル分野も進んで受け入れている。時節に合わせて彼がYouTubeで定期的に発表しているカバー・シリーズ『The Song Society』は、何百万人もの視聴者が楽しんでいるコンテンツだ。「『The Song Society』のプロジェクトは、この先ずっと何年も、僕が今やっていることの一部であり続けるように感じられるんだ。他の人たちの曲に対する僕の愛が、そこには結集されている。特にポップ愛がね。ほんの1時間で何か素晴らしいものを生み出してみようという、遊び心や自然発生的な大らかさ、そして蓄積された音楽的才能を深く掘り下げようという思いが、そこには込められているんだよ」

また、世界で同時放送されているジェイミーのラジオ番組は、数え切れないほど多くの人々に楽しまれている。ジャズを基盤にしつつ、ヒップホップやエレクトロニック・ミュージックなどの世界にも少々足を突っ込んでいるこの番組は、曲、インタビュー、そしてライヴ・セッションから成っており、2010年にBBCラジオ2で放送を開始して以来、数多くの賞を受賞。中でも最新かつ最も権威のある賞が、2018年に英国ラジオ・アカデミーより授与された<最優秀音楽プレゼンター賞>である。その晩最も高い人気を集めた賞のトロフィーを受け取った際、ジェイミーは次のようなスピーチを行った。「楽しい冒険として、この番組を始めたのは何年も前のことですが、まさかこのような場所に立つことになるとは夢にも思っていませんでした。僕の音楽に対する愛に拍車をかけ、ミュージシャンとしてのキャリアを目指すきっかけとなったのは、ジョン・ピールや、トレヴァー・ネルソン、ジャイルズ・ピーターソン、ハンフリー・リトルトン、マーク&ラード、ティム・ウェストウッドといった、錚々たるDJの番組でした。知識豊富で情熱的なキュレーターの力というものを、僕は昔からずっと信じています」。そして更にこう付け加えている。「自分自身の音楽キャリアにおいても、僕は常に自分のことを、音楽とミュージシャンたちのための伝道者であるように感じています。素晴らしきラジオ2を通じてその情熱を伝えることが出来るなんて、天の恵みです」と。彼のライヴ・パフォーマーとしての力量は、インタビュアーとしての優れた能力に匹敵。彼の番組にこれまでゲストとして登場した面々には、ポール・マッカートニー、ギル・スコット・ヘロン、ポール・サイモン、クレオ・レーン、クリント・イーストウッド、デイヴ・ブルーベック、マーティン・フリーマン、ケイト・ブッシュ、そしてメタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒらがいる。またジェイミーは、同じピアノ・マンであり自身の憧れのヒーローであるビリー・ジョエルがマディソン・スクエア・ガーデン公演を行った際、何と8度(!)もオープニング・アクトとして招かれたが、ジョエルはそれからまもなく、ジェイミーのBBCラジオ2のスペシャル番組にゲスト出演も果たした。

週一でラジオ番組をレギュラー担当しながら、新作アルバムのリリース準備を行い、多忙を極めていつつも尚、別のプロジェクトに割く時間をやり繰りしているジェイミー。そこには彼が審査員を努めているマーキュリー音楽賞や、若者に音楽を普及するチャリティ活動が含まれている他、犯罪者の更生に音楽を使用する<インハウス・レコード>の活動にも協力。またジェイミーは昨年11月、BBCが毎年行っている『チルドレン・イン・ニード』(※支援を必要としている18歳以下の子供達のための募金活動)のテレビ募金キャンペーンの公式ソングをシングルとしてレコーディングするよう依頼され、喜んで引き受けた。

では、彼はこの次、どこへ向かうのか? 「将来の目標? 僕は今も熱心な音楽ファンで、音楽を学んでいる途中の学生でもあるように感じているんだ。今は、音楽理論の世界に没頭し始めているよ。自分がピアノで出来ることを、大幅に深めるための努力の一環としてね。でもそれは、ソングライターとして僕が今抱いている、一番高い目標なんだ。「グラン・トリノ」という曲を作った時、僕はその渇望を味わった。ピアノの技術というものを、本当の意味で以前より少し理解し始めるように感じたのは、その時が初めてだったんだ。本能だけに頼るのではなく、長年にわたって僕がゆっくりと積み重ねてきた、構成要素と技術を用いるってこと。成功というのは自分の好奇心に磨きをかけるものであるべきだということが、理解できるようになった。これまで一緒に仕事をしたり、インタビューしてきた僕のヒーローたちを見て、それが分かったんだ。僕自身も、そんな心構えでこれから先ずっと何年もずっとやっていけたらいいと願っているよ」