<レポート>LIVE IN JAPAN TOUR 2017 ツアーファイナル

2017.12.13 TOPICS

上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ LIVE IN JAPAN TOUR 2017
12月8日(金) 東京・すみだトリフォニーホール

世界を舞台に活躍するピアニストの上原ひろみと、南米コロンビア出身のハープ奏者エドマール・カスタネーダによるデュオ・プロジェクト、上原ひろみ×エドマール・カスタネーダが新作『ライヴ・イン・モントリオール』を携えて開催した「上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ LIVE IN JAPAN TOUR 2017」のツアー・ファイナル公演が、12月8日(金)にすみだトリフォニーホールにて開催した。

今回の日本ツアーはジャズクラブとコンサートホールの両方で開催(14日間・全23ステージ)され、コンサートホール公演では『ライヴ・イン・モントリオール』を録音した2017年6月30日のカナダ、モントリオール・ジャズ・フェスティヴァルと同じセットリストが披露された。

この日1,800枚のチケットは即日完売。会場にはエドマールを応援するためにコロンビアの手旗国旗を持参した観客の姿も見受けられた。ステージはエドマールのオリジナル「ア・ハープ・イン・ニューヨーク」からスタートしたが、アルバムを超える上原とエドマールのエネルギー量の高さに観客は冒頭から釘付けとなった。

最初のMCで上原は、「今年も世界津々浦々ツアーをしてきましたが、一緒に旅をしてくれた愉快な相棒を紹介します」とエドマールを紹介。エドマールもそれを受けて「また東京に戻ってこれて嬉しいです」と日本語でMC。続いて披露された「フォー・ジャコ」は、伝説のベーシスト、ジャコ・パストリアスのグルーヴを表現したいと書かれたエドマールのオリジナルで、エドマールはベースラインやハーモニーなどジャコを思わせるサウンドとグルーヴをハープから繰り出す。ハープの概念を覆す驚異的なプレイだった。一方の上原も、ピアノの弦の上にシェイカーを乗せ、ハープシコードのようなサウンドで熱いソロを取る。1台のピアノとハープからとは思えない、色彩豊かな音を生み出す二人のパフォーマンスに、会場のヴォルテージは早くも最高潮になった。

続いて披露された上原作曲のバラード「月と太陽」では、一転して場内は静寂に包まれ、上原とエドマールもひとつひとつのメロディーを慈しむように奏でていたのが印象的だった。映画『スターウォーズ』からのカヴァー「カンティーナ・バンド」を挟んで、ソロ・コーナーへ。まずエドマールが「ジーザス・オブ・ナザレス」を、続いて上原が「ヘイズ」を披露した。

そしてステージはいよいよクライマックスへ。上原が「私がエドマールと出会ったのは、昨年のモントリオール・ジャズ・フェスティヴァルでした。そこで観たエドマールの演奏に衝撃を受け、その1ヶ月後にはブルーノート・ニューヨークで共演し、そこで今年一緒にツアーをまわることを決めました。ツアーをまわるにあたって、私が書いた曲を最後に演奏します。その曲は4曲からなる組曲で、それぞれのテーマが風・大地・水、そして…」と話すと、客席からは「炎!」と大きなコールが起こった。それを受けて披露された組曲『ジ・エレメンツ』では、そよぐ風や大地の鼓動、水の清らかさを思わせる豊かなサウンドスケープの中で繰り広げられる二人のインタープレイが圧巻だった。そして最後の「ファイアー」では、メーターが振り切れるくらい燃え上がる二人の圧倒的なパフォーマンスと、ステージから発せられる熱量に会場のヴォルテージもマックスとなった。

演奏が終了しステージを去った後もスタンディングオベーションをやめない観客に応えて、二人は再びステージへ。ラストはタンゴの巨匠アストル・ピアソラの名曲「リベルタンゴ」。終了後には再び客席全体でスタンディングオベーションが起こり、観客は2時間以上にわたり熱演に次ぐ熱演を繰り広げた上原とエドマールに惜しみない拍手を送った。

写真:(c)Makoto Hirose

<セットリスト>
1. ア・ハープ・イン・ニューヨーク
2. フォー・ジャコ
3. 月と太陽
4. カンティーナ・バンド
5. ジーザス・オブ・ナザレス (エドマールSolo)
6. ヘイズ (上原Solo)
ジ・エレメンツ
7. エアー
8. アース
9. ウォーター
10. ファイアー
Encore
11. リベルタンゴ