原田知世

<レポート>デビュー35周年記念ツアー千秋楽公演

2017.11.29 TOPICS

原田知世 35周年アニバーサリー・ツアー“音楽と私” in 東京 2017
2017年11月28日(火) Bunkamuraオーチャードホール

 

今年7月にリリースしたキャリア初のセルフ・カヴァー・アルバム『音楽と私』がロング・ヒット中の原田知世。京都・山形・福岡・広島の計5公演からなる「原田知世 35周年アニバーサリー・ツアー “音楽と私“ 2017」の千秋楽公演が、11月28日(火)にBunkamuraオーチャードホールにて開催された。

2,000枚のチケットは、発売と同時にソールドアウト。厳かなピアノの調べが流れる場内は、開演前から静かな熱気に包まれていた。定刻から5分を過ぎたころ、場内が暗転し、おもむろにステージの紗幕に映像が映しだされた。それは、1983年公開の原田の初主演映画であり、現在も熱狂的なファンを持つ映画『時をかける少女』の冒頭のシーン。まだ幼さも残る原田の姿にオーディエンスの視線がそそがれる中、映像が終わり紗幕が上がり始めると同時にバンドが『音楽と私』に収録された最新ヴァージョンの「時をかける少女」を演奏。そしてステージ中央に白いドレスを身にまとった原田知世の姿が現れると、観客から大きな拍手が起こった。それはまるで、映画からタイムスリップして現れたような錯覚を与える、絶妙な演出だった。

原田をサポートする伊藤ゴロー率いるバンドは、ここ4年間レコーディングやライヴを共にしている、原田自身が絶大な信頼を寄せるメンバーばかり。この日はストリングカルテットやホーンが加わり、原田含め総勢11名がステージに立った。「時をかける少女」に続けて、洋楽カヴァー・アルバム『恋愛小説』からの2曲に続けて、『音楽と私』から3曲を披露。「ロマンス」では、20年前にスウェーデンで撮影されたオリジナル・ヴァージョンのミュージックビデオと、今年撮影された最新ヴァージョンのミュージックビデオが交互にスクリーンに映写される、粋な映像演出も光った。原田は、「うたかたの恋」では切なくしっとりと、「ロマンス」や「愛のロケット」ではステップを踏み軽やかに歌う。その透き通る優しい歌声とナチュラルな笑顔に、会場内は柔らかな空気に満たされた。

MCでは、「今年は、応援してくださってるファンのみなさんにたくさんお返しをできたらと思いながら過ごしてきました。初のセルフ・カヴァー・アルバム『音楽と私』のレコーディングから始まって、プロモーションでは歌番組にもいろいろ出演させていただきました。実は、スタッフの方達が、35周年を迎えるにあたり一番先に準備をしたのが、このオーチャードホールの会場予約でした。とても素晴らしいホールなので、35周年をやるならここで、と。そして日程も、誕生日である11月28日にしましょうとなりました。あれはたしか2年前のこと。ようやくこの日が迎えられて、とても嬉しい気持でいっぱいです」と語った。

休憩をはさんだ第2部は、再び懐かしい映像からスタート。映画『時をかける少女』公開時の舞台挨拶の模様だ。そして、光沢のある緑のドレスに着替た原田は、伊藤ゴローのギターのみをバックに、デビューから2枚目のシングル「ときめきのアクシデント」を歌い始める。第1部と同様、過去と現在の原田知世がリンクする、まさに“時をかけた”演出だった。続けて、映画撮影時に訪れたニューカレドニア島で出会った美しい風景の思い出を語り、その映画主題歌「天国にいちばん近い島」を、アルバム同様ピアノを中心にしつつも、後半でストリングスやリズムが加わる特別アレンジで披露。聴き手にそっと寄り添う情感をたたえた歌声で、本公演のハイライトと呼べる感動的なパフォーマンスだった。

コンサートの終盤には、邦楽カヴァー・アルバム『恋愛小説2〜若葉の頃』収録のキャンディーズ「年下の男の子」を、振り付きで披露したり、アイルランド音楽グループのtricolorを迎えて「空と糸 -talking on air-」を歌ったりと、趣向を凝らした内容で場内は大いに盛り上がった。そして本編ラストは、原田のギター弾き語りから始まる「くちなしの丘」。ギターは『音楽と私』のレコーディングにあたって練習したそうで、自身の歌声さながらの柔らかな響きが、会場を包み込んだ。

アンコールは、まずアルバム『noon moon』から「Double Rainbow」。その後原田のMCを受けて次の「September」を演奏するかと思いきや、バンドは「ハッピー・バースデー」を演奏。会場全体も大歓声で、この日誕生日を迎えた原田を祝福した。続けて、バンマスの伊藤ゴローが「実はこの方たちからもお祝いメッセージが届いています」とコメント。それを受けてバックスクリーンには映画監督の大林宣彦と角川春樹という、デビュー時の原田の恩人である二人からのメッセージ映像が流れた。そのあとメンバー全員から花束をプレゼントされた原田は、胸いっぱいの表情で、「歳を重ねるということは、若いときの一瞬のきらめきみたいなものはもちろん無くなっていきますけれども、昔持っていなかったものを今はたくさん持っているような気がして、去年よりやっぱり今年の方が幸せですし、これからも歳を重ねることを楽しみながら前に進んで行きたいと思っています。どうぞ皆さんこれからも一緒に歩んできください」と語った。

「September」を歌い終わってメンバーとステージを去った後も、観客の拍手は鳴り止まない。すると、原田と伊藤ゴローが登場。スクリーンに映画『時をかける少女』のタイトルバックが流れると、同曲をボサノヴァ・ヴァージョンで再び披露し、ステージを締めくくった。心にしみるパフォーマンスに、客席からは惜しみない拍手が送られた。

原田知世らしさあふれる、心温まるこの日のコンサートの模様は、来年2月にWOWOWで放送されることが決定している。

■セットリスト

01. 時をかける少女 *
02. ドント・ノー・ホワイ Don’t Know Why
03. 夢の人 I’ve Just Seen a Face
04. うたかたの恋 *
05. ロマンス *
06. 愛のロケット *
~休憩~
07. ときめきのアクシデント *
08. 天国にいちばん近い島 *
09. ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ *
10. 地下鉄のザジ (Zazie dans le metro) *
11. 年下の男の子
12. 空と糸 -talking on air- *
13. くちなしの丘 *
Encore
14. Double Rainbow
15. September
16. 時をかける少女
*印…『音楽と私』収録曲

原田知世(vocals)
伊藤ゴロー(classical & electric guitars) 坪口昌恭(piano, keyboards) 鳥越啓介(bass)
みどりん(drums) 織田祐亮(trumpet) 藤田淳之介(soprano, tenor & baritone saxophones)
伊藤 彩ストリングカルテット(violin: 伊藤 彩, 柳原有弥, viola: 三木章子, cello: 結城貴弘)
tricolor (中藤有花, 長尾晃司, 中村大史) on 空と糸 -talking on air-

PHOTO : (c)和田直美