BIOGRAPHY

FLIPSYDE (フリップサイド)


  ブラジルとアラバマ、チリの共通点とは?アメリカ大陸の一部・・・・・・それも正解だが、フリップサイドの音楽スタイルの骨となる文化的結びつき、それが答えである。他のバンドでは決して経験することのできないユニークな音のブレンドがそこにはある。
 カリフォルニアのオークランドで誕生したフリップサイドは、ヒップホップからラテン・アコースティック、果てはソウルフルなエッセンスまであらゆる音楽をエキサイティングに融合、見事なまでにメンバーの文化的背景が投影されている。南米ブラジル出身であるパイパーことジンヨウは子供のころ母親が聴いていたブラジル音楽に大きな影響を受けた。彼はこのグループのユニークなサウンドについて、こうコメントしている。
「俺たちの音楽は、なんというか音楽そのものみたいなものだ。一定の形がなくてどんな形にも変化する。グラスに入れればグラスの形になる。他には言いようがないな。」

 他に例を見ないこのグループはどう結成されたのか?
 フリップサイドのストーリーは、同じレーベルで別々のプロジェクトにかかわっていたジンヨウとスティーヴがお互いのレコーディングに協力したところから始まる。パズルの最後の1ピースが埋まったのはそこから1年後。デイヴがたまたま休みの日に仕事をしていたオークランドのサウンドウェイヴ・スタジオでリハーサルが行われた時であった。チリ育ちでクラシックとラテン音楽に強い影響を受けたデイヴは、スティーヴとの最初の出会いはあまりよくなかったと語る。
 「俺はスティーヴに対してあまりいい感じの対応をしなかった。ヤツは突然俺のオフィスにズカズカ入り込んできたから、‘おいおい、ノックぐらいしろよ’って思ったんだ。でもスティーヴは俺にずっと話しかけてきて、”Someday”って曲をプレイし始めた。俺は感動して、自分がスティーヴに対して何か出来ることがあるって感じたんだ。その日以来俺たちはこうしてずっとジャムってるんだ。」
 ジンヨウのブラジルの魅力とデイヴのチリのエッセンスに加え、若い頃から父親と共にフォーク・フェスティバルでプレイしフーティー・リードベリーやオールマン・ブラザーズ、グレイトフル・デッドといったアーティストに影響を受けてきたスティーヴにより、そこにオールド・ソウルのアラバマ的なグラス・ルーツが持ち込まれたのだ。

 出合いの絶妙なタイミングと場所、そして全員の車のナンバープレートが期限切れしていたという共通点の他に、彼らは世界が必要としているもの、つまり調和が必要だということについても同じ信念を共有し、そのメッセージはフリップサイドの詞を通じて紡がれている。

 「どこの出身とか、金持ちか貧乏かとか、宗教が何かなんてことは関係ないんだ。宗教や人種、あるいはなんであれフェアーじゃないものの壁を壊すことは可能なんだ」――――――――――スティーヴ・ナイト

 「自分と自分の夢を信じることが必要だ。俺たちの音楽は愛のかたまりさ」――――――デイヴ・ロペス

 「俺たちの音楽は調和と平和を促進して、人々に力を与えるんだ。悪に背を向け、個人主義からの脱却を奨励する。俺たちの音楽は真実と光明をもたらすんだ」―――――――――――――――パイパー