Biography

Escape -a

=Escape The Fate=
クレイグ・マビット(Craig Mabbitt) - Vo
ブライアン・モンテ・マネー
(Bryan “Monte” Money) - G
マイケル・マネー(Michael Money) - G
トーマス・TJ・ベル(Thomas “TJ” Bell) - B
ロバート・オーティス(Robert Ortiz) - Ds

http://www.escapethefate.com/


Monte Moneyは「感謝している(grateful)」という言葉のタトゥーを彼の拳に入れている。
エスケイプ・ザ・フェイトのギタリストは、彼がこれまでどこにいて、その旅で何をしたのか、そして今はどこにいるのかを公に要約するために、そのタトゥーを入れたのだ。
「これは本当に、あらゆることに対しての返答なんだ」 彼は謙虚に言う。
「俺達のバンド名(注:宿命を逃れる)もまた、返答なんだ。俺達に起こっていることに感謝する代わりに、ロックスターのように生きていた時期があった」
 
Monteのコメントは、エスケイプ・ザ・フェイトの4枚目にして、新しいレーベルのEleven Seven Musicからの第一弾となるアルバム、『Ungrateful』の主な信条の一つである。エスケイプ・ザ・フェイトのメンバー(Monteと、シンガーのCraig Mabbitt、リズム・ギタリストのMichael Money、ドラマーのRobert Ortiz、そして最新メンバーのベーシストのTJ Bell)は、他の多くのバンド達が魂を売ってまで欲しがるような体験を味わってきた。しかし、VH1の『ビハインド・ザ・ミュージック』(注:MTVの姉妹局で放映されている、様々なバンドの歴史を振り返るドキュメンタリー番組)のようなバンド消滅に近い経験をして、エスケイプ・ザ・フェイトは起き上がり、懸命に努力して、彼らのキャリアにおいて最も野心的なアルバムを創り上げたのだ。

 『Ungrateful』を作る上でのモチベーションは、エスケイプ・ザ・フェイトのメンバー達に、彼ら自身の存在について考え直すことを要求した。Monteの兄弟のMichaelが、長年、バンドとスタジオで一緒にプレイした後に正式メンバーとして迎えられた。新しいマネージメントも獲得し、作曲が始まって、バンドは4作目のプロデューサーとして、再びJohn Feldmanと組んだ。しかし振り返ると、バンドはFeldmanのビジョンに完全に従っているわけではなかった。彼らは他のプロデューサ-達にも会い、他の人達と同じ使い回された台詞を聞いたのだ。興味深いことに、彼らはブロデューサーに対しての躊躇の解決法を、彼らの内に見出した。

「俺達は、MonteがGarageBandで作っている曲の方が、メジャーなプロデューサ-達がやっているものよりいいって気づいたんだ」
 Ortizが言う。そこでバンドはその後の曲は、Monteのビジョンを使ってFeldmanがプロデュースした曲を残した。
「Feldmanは素晴らしいよ。でも、彼は確定したサウンドを持ってる。俺達のアイディアを気に入ってくれて、それを広げようとしてくれるプロデューサ-は一人も見つからなかった」

Monteが鮮明に思い出す。
「多くのプロデューサ-達が、色々と変えたがった。彼らが年配だからなのかどうかは分からないけど、「これがうまくいくやり方だ、これは変えるな」っていうのが彼らの姿勢だった」
 それに加えて、元アトレイユのドラマーで現在はHell Or Highwaterのフロントマン、Brandon Sallerが、Ortizの言葉を借りると、Mabbittが「彼の内側のロック・ゴッドを見つける」ための助け役として協力した。
「スタジオでのレコーディングとなると、俺は自分のヴォーカルにすごく自信がある人間じゃないんだ」
 
Mabbittは認める。
「誰も俺にどうなのか言えないから、いつも「気に入った? もっと録る?」って聞いてしまうんだ。Brandonはスタジオにいて、俺をすごくプッシュして、やる気にさせてくれたんだ。彼はいつ叫んで、いつ歌うのがクールなのかが分かってて、俺がもっといいパフォーマンスができるように助けてくれた」
 制作が終了した『Ungrateful』の11曲(日本盤は14曲)は、バンドがこれまでの作品では進もうとしなかった方向へのクリエイティヴな広がりを提示している。彼らに劣るバンド達は、何人ものプロデューサ-を使うと作る人間が多過ぎて自らを傷つけるだろうが、エスケイプ・ザ・フェイトは、著しくまとまりのあるアルバム、しかも現代的であるだけでなく、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの全歴史の生命の源である、変わらない直接性を提供するアルバムを作り上げた。
「俺はこのバンドがジャンル分けされてレッテルを貼られることは一度も望まなかった」
 
Monteが言う。
「俺達のこれまでのアルバムは、曲が一緒に流れていく感じじゃなかった。俺達はソングライターとして成長していて、要するに、俺達のケミストリーが最高なんだ」
 完成したばかりの『Ungrateful』は、モダン・メタル界の競争において、間もなくその権利を主張する。活気のあるタイトル・トラックでは、Mabbittのパフォーマンスは獣のような咆哮から、
ポジティブな勇ましさまでを披露し、彼の後ろではバンドが今日のお決まりのメタルコア・バンド達よりもメタルの王者達(ガンズ・アンド・ローゼズ、スキット・ロウ等)に近いロック感性で演奏をしている。バンドは“Until We Die”が彼らのオフィシャル・アンセムだと認める。彼らはMonteの怒濤のソロと、曲の最後の秘密のピアノ・コーダでそのことを確信しているのだ。“Chemical Love”はちょっとした方向転換で、Ortizのダンスフロアに似合うビートと、沢山のエレクトロニックの要素をフィーチャーしている。“Risk It All”では、バンドはドラマーの体内の血をエナジードリンクと入れ替えたようで、もの凄いスピードでエネルギッシュなドラムを炸裂させ、一方Mabbittはヴォーカル・メロディを積み上げて、Monteはジューダス・プリーストやアイアン・メイデンが書き忘れたかのようなメロディを鳴らす。胸を打つバラード、“Picture Perfect”は、フォール・アウト・ボーイのフロントマン、Patric Stamp がMonteとMabbittと共同で作曲している。突然亡くなったMoneyの子供時代の友達に捧げる曲だ。まとめて言えば、『Ungrateful』は、ハード・ロックとメタルに対する警告書であり、ジャンルの架け橋となって、暦を調整し、この文化の進化に新しい意識を呼び起こすことができるアルバムである。
「Craigと俺は、曲を進むべき方向に持っていくものなら何でも好きなんだ」
 
Monteが言う。
「曲によっては、違うものが必要になると思うんだ。俺達は“実験的”ではないけど、俺達の色々な要素を取り入れることを怖れない。でも正直なところ、俺はこれを俺達の本当のサード・アルバムだと思いたいんだ。このアルバムは、俺には完全に新しいバンドみたいに感じられるからさ」
 彼らが脱線するように脅かした全ての障害について考えてみても、エスケイプ・ザ・フェイトは、実際は感謝していない(Ungrateful)状態ではないことを、皆に知らしめる用意が出来ている。なぜなら『Ungrateful』はエスケイプ・ザ・フェイトのニュー・アルバム以上の言葉だからだーーこれは、大音量の使命の宣誓なのだ。
「もし俺達が、巨大な大企業だったら」
 
Ortizが説明し始める。
「俺達の使命の宣誓は「本物のロックを大衆の手に取り戻せ」になるだろう。今の世の中に出回ってるありふれたものにはならないね」
 Mabbittはメンバーのマーケティングの才能を認めつつ、エスケイプ・ザ・フェイトの2013年以降の行動計画について、別の案を出してくれた。
「「お互いをすごく大事にすること」かな。俺達はそれで上手くいってるからさ」

Jason Petigrew (オルタナティヴ・プレス)