Biography

Dropkick -Murphys -official -p

   =メンバー=
=DROPKICK MURPHYS=
Al Barr(リード・ヴォーカル)
Tim Brennan(ギター、アコーディオン、口笛、ヴォーカル)
Ken Casey (ベースギター、リード・ヴォーカル)
Jeff DaRosa(バンジョー、ブズーキ、マンドリン、ハーモニカ、アコースティック・ギター、マンドラ、ヴォーカル)
Matt Jelly(ドラム、ヴォーカル)
James Lynch(ギター、ヴォーカル)
Scruffy Wallace (バグパイプ、口笛)
http://www.dropkickmurphys.com/


 ドロップキック・マーフィーズが、8枚目のフルレングス・アルバム、『SIGNED and SEALED in BLOOD』(Born &  Bred Records/ ADA)を携えてやって来る。今作では、全てがアクセル全開になっている。ギターはより威勢良く、ギャング・ヴォーカルはより一層大音量で、フックはよりキャッチーで、歌詞によって曲の中に引き留められる。『SIGNED and SEALED in  BLOOD』の最も猛烈な部分は、まるでホッケーのスタンレーカップの試合の最後の30秒間のように感じられる。

熱狂的で、スリリングで、危険だ。最も 穏やかな曲の数々は、ドロップキック・マーフィーズの血管を流れる価値観を表明している。家族、近隣の人々、名誉、尊敬、ルーツ、そしてこの世を去った 人々を忘れずにいること。『SIGNED and SEALED in BLOOD』の全ての瞬間が、ただ一つのことーードロップキック・マーフィーズは単にうるさくて猛烈なバンドなのではなく、ソングライターとしても絶頂 期にあるということを証明している。
 
 これは偶然ではない。今回、バンドは”年中ツアー中”のスケジュールを短縮し、一ケ月間ヨーロッパの大きなフェスティバルに出演しただけで、春に新し
く始まったソングライティングを有効に利用したのだ。彼らは何曲かの新曲をツアーに持ち込み、毎晩のセットリストに織り込んだ。その中でも際立っていた
曲が、「Rose Tatoo」だ。ドイツの 
ロック・イン・パーク・フェスティヴァルで、フランスのヘルフェストで、イギリスのダウンロード・フェスティヴァルで、それらの新曲は、バンドの一番人
気の曲と同様に、DKMファンの海を動かした。バンドは彼らが波に乗っていることに気づいていた。そこで最後のフェスティヴァルの後、彼らは興奮気味に
新しい宿、サウス・ボストンにある倉庫に戻ったのだ。そこは過去のツアーのバックドロップを掲げられる大きな壁があるリハーサルスペース兼クラブハウス で、彼らはそこで作曲とリハーサルを行った。7人のメンバーが集まって彼らのトレードマークであるギターとアコースティック/フォーク楽器の融合を形作 り、あなたの目前にある曲のコレクションに仕上げたのだ。
 
 このことを知った上で、アルバムのオープニング曲のオープニングの一節を聞いても驚きではないだろう。
「男達が戻った、そして彼らはトラブルを探してる」……まさに、彼らはその通りだ。

 ドロップキック・マーフィーズの音楽はユニバーサルなものだ。ありふれた人間のための、ありふれた出来事についての曲。それが猛烈な激しさとやみつき になるメロディーと一緒になって、聞いた全ての者をうちのめす。ドロップキック・マーフィーズは、彼らが獲得した”パンク”や”ブルーカラー”といった
レッテルと同様に、素晴らしいソングライターの集まりなのである。彼らは、彼らが敬愛するWoody Guthrieや、彼らの友人の Bruce Springsteenと同じことを追求している。それは、どうすればスピーカーの向こう側に、世界中の人々の骨身に沁みるような大きな”真実”を出すことができるかというものだ。

 クラブハウスに戻って、曲が次々に出来上がっていった。最後の作曲セッションで、彼らは入り口が大きく開かれているのを感じた。コードは「船が寄港す
る未来を夢見てる」と語る「Prisoner’s Song」で解読された。そして熱望的な「Don’t Tear Us 
Apart」では、人間の浮き沈みを探求している。「気分が落ちている時、そして道を見失った時、そして人間の性質が再びぶざまに倒れる時、どうか誰か
来てくれないか、この助けが必要な無力な人々を助けて、そしてこの人類に対する俺達の信念を改めてくれ」。そして「My 
Hero」は、心からのブリッジを入れて、「俺のヒーロー……俺の心」という父親のような指導につながる抒情詩になっている。

 長年に渡って、この分かりにくいソングライティング・コードを少しずつ崩しながら、ドロップキック・マーフィーズは、様々な多数の人々にとって様々な
意味をもつ存在になることに成功してきた。パンクな怒りを解放するためにショウを観に来るファンもいれば、このバンドの有名なアイリッシュ・フォークが
聞きたくて訪れるファンもいるし、クラウド・サーフィンをして大騒ぎするために訪れるファンもいる。その何が理由であれ、ファンは世界中に、異なる言語
で何千、何万人といる。そして彼らは常に求めて来たものを手にして帰る。

 この事業は常に順調に拡大していたわけではない。ドロップキック・マーフィーズはマサチューセッツ州、クインシーの床屋の地下室で始まった。彼ら独自
の道を切り開き、オンボロのバンでツアーした。7枚のアルバムを発表する間に、彼らは4百万枚を越えるアルバムを売り上げ、世界の全ての大陸の会場を完 売にし、マーティン・スコセッシ監督のアカデミー賞受賞作『ディパ-テッド』のサウンドトラックに収録された「I’m Shipping Up to Boston」というプラチナ・シングルを生んだ。一方、2011年のコンセプト・アルバム『Going Out in Style』は、『All Souls』の著者、マイケル・パトリック・マクドナルドと共作した架空の物語とブルース・スプリングスティーンのゲスト・ヴォーカルが収められていただけでなく、ビルボード誌のトップ200(アルバム・チャート)で発売最初の週に43000枚を越える売り上げを達成し、6位を記録した。

ワーナー・ ミュージックのインディペンデント・レーベル・グループを通して、バンドの自主レーベルBorn & Bred Recordsから発表した2枚目のアルバムで、2007年の『The Meanest of Times』の初登場20位から大きな飛躍を遂げて、過去最高のチャート・ポジションを獲得したのだ。また、彼らは地元で真のヒーローとなり、今年の 夏、Boston Popの毎年好例の7月4日のコンサートを、25万人の観客を前にして行った。それから「Tessie」という彼らが書いた曲は、2004年にレッド・ ソックスがワールドシリーズで86年ぶりに優勝した時にテーマソングとなった。このバンドはどこに行っても、それがローマのパンク・クラブでも、世界で も屈指のクラシックの演奏家達とステージを共にする時でも、まるで家にいるようにくつろいでいる。

 『Going Out in Style』で過去最高に深く掘り下げた後、ドロップキック・マーフィーズは意識的に、次の作品で彼らの荒々しいケルト・パンク・ルーツに戻ることに決 めた。『SIGNED and SEALED in BLOOD』の唯一のコンセプトは、決定的なドロップキック・マーフィーズの声明を打ち出すということだった。

「俺達はこれまでに書いた中で最もキャッチーな曲を作りたかった」
 リード・ヴォーカル兼ベースのKen Caseyは言う。
「前作で物語を追ったのは楽しかった。でも、『SIGNED and SEALED in 
BLOOD』はある意味、前作に対する反動になってる。俺達は普段、作曲の合間に休憩が必要なんだけど、『Going Out in 
Style』が完成した後すぐに、作曲を続けたんだ、俺達はアグレッシヴで、度を超しているアルバム、このバンドで俺達が大好きな部分が滲み出る作品を
作りたかった。全てにおいて、もう少し大きく、もう少しうるさく、もう少しクリアになってる。ギターとバックヴォーカルの音量を上げて、1万人がスタジ
アムにいるようなサウンドにしたかったんだ。そういう感触があるんだ」

 その感触を捕らえるために、バンドは長年のコラボレーターであるプロデューサーのTed Huttと並んで、エンジニアのJames R. 
Brown(フー・ファイターズ)とJoe Chiccarelli(ホワイト・ストライプス)の協力を初めて得た。マサチューセッツ州サマヴィル(ボストン郊外の都市)のQ 
ディヴィジョン・スタジオ に留まり、彼らは何度かの熱烈なセッションで、このハイパー・クリエイティヴな時期に乗じて、アルバム全部を作り上げた。

 バンドは一度だけ、レコーディングからの休憩を取った。彼らの友人であるマムフォード&サンズのアメリカで初のジェントルマン・オブ・ザ・ロード・
フェスティヴァルに開催直前に招待され、断るわけにはいかなかったからだ。それでドロップキック・マーフィーズはメイン州ポートランドを訪れて、この
フェスティヴァルのセカンド・ステージのトリを努め、その日の夜遅い時間に、この街のメインストリートにあるthe State Theaterでコンサートも行った。この4時間以内に行った2公演は、『SIGNED and SEALED in BLOOD』のレコーディング・プロセスの妨げにはならなかった。翌日の午後、プロデューサ-のTed 
Huttと共に、DKMとマムフォード&サンズのバンジョー奏者、Winston Marshallがメイン州の海沿いの街、ケネバンクポートの小屋に集まった。そこでMarshallが「Rose Tattoo」のJeff DaRosaのパートに、彼のバンジョーを織り込んだ。ドロップキック・マーフィーズがアルバムで友人達とコラボレーションをするのは長年に渡る慣例に なっているが、この曲はその中でもひと際素晴らしいサウンドに仕上がっている。

このケネバンクポートの小屋でのセッションの後、バンドはボストンのQディヴィジョンに戻った。
「スタジオには素晴らしいチームがいたんだ」
 Casyが説明する。
「俺はこのアルバムのギターのサウンドが大好きだ。今回初めて、プロのミキサーが参加してくれたんだ。Joeのボストンの友人で、俺達ともすぐに気が
合った。Jamesもエンジニアと一緒にすごく良い仕事をしてくれたよ。今では、Tedは8人目のバンド・メンバーみたいな存在だ。彼は俺達をやる気に
させ続けてくれたんだけど、それを前以上によくやってくれた」

 そのことは、ファースト・シングルの「The Season’s Upon Us」にはっきりと見て取れる。この曲はクラシックなドロップキック・マーフィーズというだけでなく、機能不全のクリスマスの肖像でもありーー本来的に クラシックとなる曲だ。バンドは彼ら独自のホリデーの歓待を取り上げ、ワイルドなリフや夢中にさせられるサビやユーモアたっぷりの歌詞を取り入れて、熱 烈なアンセムとして生み出している。
「俺達がこの曲を書いた時、いいクリスマスっぽさがあったんだ」
 Casyが言う。
「皆が、「クリスマス・ソングを書けよ!」って言い出して。それで俺はペンと紙を手にして座って、思ったんだ。「クソ、クリスマス・ソングって何百万と
あるんじゃないか? 名曲の数々をどうすれば越えられる?」って。俺は逆方向に進んで、クリスマス自体、あるいは家族が好きじゃないっていう、全人口の 大きな割合を占める人達のために曲を書くことに決めたんだ。俺はある種の現実を指摘したかった。その方がずっと楽しい。この曲には皮肉とユーモア、そし て真実が込められてる。世界にはタイムレスなクラシック・クリスマス曲はもう充分にあると思う……全てを失って誰もいない可哀想な男とか、それよりも酷 い状況で、大家族でその全員が最悪っていう人のための曲が、もう少し必要なんだよ」

 また、Casyは次のように説明する。
「「The Boys are  Back」っていう新曲で、俺達は新しいアルバムでこんなにすぐに戻って来たっていう顔面直撃タイプの曲を書こうとしたんだ。それから、ツアーで家を離 れていて、家に帰る時のことについても書こうとした。ドアを蹴り開けて、自分の世界と人生にまた飛び込むことについての曲だよ。アルバムの基調を定めて いる曲で、最高にビッグな曲だ」

 ドロップキック・マーフィーズの伝統を維持している「Rose Tatoo」は、家族と、文字通りに「血で署名をし、封をした(SIGNED and SEALED in BLOOD)」コミットメントを反映している曲だ。
「俺達がこの曲を書いた時、俺は自分のタトゥーについて考えてた」
 彼は続けて言う。
「人はタトゥーを入れることで、大事な物語を身につけてる。俺の腕には、俺達の昔の曲、「Boys on the 
Docks」の歌詞と合わせて薔薇のタトゥーが入ってる。俺の祖父についての曲だ。アルバムのタイトルも、「Rose Tatoo」の歌詞から取ってるんだ」

 今作はまた、ビーンタウン(ボストンの別名)を越えて熱狂的なファンベースを創ったこのバンドの絆を象徴している作品でもある。タトゥーを入れたファ
ンが無数にいるドロップキック・マーフィーズはもはやカルチャーとなっているのだが、『SIGNED and SEALED in 
BLOOD』のジャケットのタトゥーを入れた大勢のファンの写真をバンドが彼らのウェブサイトにアップしたことで、それは証明されている。新作のジャ
ケットの内側のページは、これらのファンのタトゥーの写真で埋めつくされている。最もダイハードなファンの多くが、DKMの伝説的なボストン・セントパ
トリック・デイ・コンサートに毎年参加している。中には仕事を休んで休暇を取って、世界中のあちこちから訪れて、この毎年好例のお祝いのバカ騒ぎのエネ
ルギーに貢献する人達もいる。

 『SIGNED and SEALED in BLOOD』は、全盛期にあるドロップキック・マーフィーズのアルバムだ。
「俺達のファンは、俺達が永遠にこれをやり続けることを望んでる」
 Casyが笑顔で言う。
「ファンは俺達と同じ様に、このバンドと共に生きて死ぬ人生を歩んでる。俺達は自分達が誰なのか分かっているし、これまでもずっと分かってた。いいド
ロップ・キック・マーフィーズのレコードを作る鍵は、全てを少しずつ入れるってことなんだ。これは、笑いたくなったり、泣きたくなったり、誰かの顔面を
ぶん殴りたくなったり、ハッピーになりたいと思ったりするアルバムなんだ。俺達は俺達の心と魂を、俺達の音楽に注ぎ込む。皆の反応には、とても感謝して
いるよ」

 というわけで、あなたの目の前にはドロップキック・マーフィーズの遺産の新章が立っているーー『SIGNED and SEALED in BLOOD』が。

ーー文:Rick Florino