4thアルバム『4 ever』楽曲解説

コンセプト・アルバムとして完結した「12 Love Stories」から1年、そしてオリジナル・アルバムとしては2年ぶりとなる童子-T、4枚目のフルアルバム「4 ever」は、タイトルの「4」という文字からも表れている通り、大きく分けると4つのテーマ/カテゴリーによって構成されたアルバムとなって生み出された。

まず一つめのカテゴリーは、アルバムのオープニングを飾る“想い”から“ファースト ソング”“あの頃”“あの日”までの4曲を彩る、いわば「12 Love Stories」の流れを引き継いだピュアなラブソングを基調にしたゾーン。特にCHEMISTRYをフィーチャリングに迎え話題になった先行リリース曲“あの頃”、そして逆にCHEMISTRY作品に童子-Tがフィーチャリングした、“あの頃”の兄弟曲とも言える“あの日”も同時に収録され、より作品に深みを増す構成となっている。

そしてそれに続く“スマイル”“HEAVEN”“ラブトレイン”“Rainy Days”は、前ゾーンの恋愛観からはもう少しセクシャルであったり、「夜」の方向にシフトした、アダルトでやや「ワル」な部分も感じさせるラブソングに彩られている。このパートはもしかしたら「12 Love Stories」から聴き始めたリスナーには驚きをもって迎えられるかも知れない。しかし、このような恋愛の陰陽を描き出す事で、さらに人間の心の機微の複雑さを童子-T流に描き出しているのは非常に興味深い。

一転して“Get Ready”“WA RA BE ”“オン ザ Mic ~Ruler達のタワゴト~”では、いわゆるセルフ・ボースティング、「俺モノ」と呼ばれる、ライヴ映えのする楽曲が続けて展開される。このパートはあまり深く考え込まずに、彼自身の発する言葉遊びやライムをシンプルに楽しむ事が重要だろう。

そういったファニーな部分も加わったパートを越え、ラストとなるカテゴリーでは、“4 ever”“タイムカプセル”“Fly High”“終わりなき旅”など、非常に内省的な「童子-T自身の言葉」がじっくりとラップされる、いわばメッセージ・ソングのカテゴリーになるだろう。自身の過去に言及したと思われる“タイムカプセル”、そしてこれからを表現した“終わりなき旅”と、「彼自身」が剥き出しになった言葉は、リスナーの胸にじっくりと刺さっていくだろう。

このアルバムから一番強く感じるのは、童子-Tの言葉の強さだろう。それは、例えば「12 Love Stories」から引き継がれたピュアネスを感じさせる純なラブソングや、それとはベクトルの大きく異なった「ワル」なラブストーリーであったり、古くからの気の置けない仲間との和気藹々とした(ふざけたと言っても良いだろう)パーティ・ラップ、そして彼自身の心の奥の言葉というメッセージという、多角的な切り口によって、よりストーリーテラー/リリシストとしての童子-Tへの理解と興味が深まるだろうし、随所に現在のトレンドを取り込み、常にアップデートされていく彼の言葉はとても印象的だ。彼の歩みは決して止まらない、そう感じさせられる、現在進行形でありながら「4 ever」な普遍性が同時に織り込まれた、力強いフルアルバムだ。

想い feat.YU-A

YU-Aを再びフィーチャリングに迎えた、「12 Love Stories」収録の“願い feat.YU-A”の続編的な一曲。“願い”よりも情念がより色濃く表現され、「別れ」にまつわるどうしようもない切なさや不満と、それでも相手を想うという、まったく逆の感情が一曲の中に落とし込まれている。

ファースト ソング

童子-T流のウェディング・ソングがこの“ファースト ソング”。ファースト・ヴァースでは幸福な新郎新婦とウェディング・パーティが描かれ、セカンド・ヴァースでは、それを祝う古くからの友人達との思い出が語られ、たくさんの構成の一曲となっている。

あの頃… feat.CHEMISTRY

CHEMISTRYをフィーチャリングに迎え、過去となってしまった恋愛の幸福な光景をじっくりと思いだし、ストーリーとして組み上げられた一曲。男の持つ純な部分が印象的に描き出され、特に男性なら誰でも共感せざるを得ない世界観が広がっている。

あの日…

“あの頃…”の兄弟曲とも言うべき一曲。“あの頃…”のストーリーの裏にあるエモーションがこちらでは強く表現され、そこに横たわる想いを大切にするような表現が心に響いてくる。“あの頃…”“あの日…”は二つで一つなのだろう。

スマイル feat.清水翔太

いまや男性R&Bシンガーとして欠かせない存在となった清水翔太を再びフィーチャリングに迎えた“ スマイル ”は、タイトル通り笑顔を物語の軸とし、言葉よりも強く励まし、支えてくれる「(恋人からの)笑顔」という温かな表情と感情を作品として表現している。

Heaven feat.BENI

童子-T & BENIという“もう一度…”のゴールデン・タッグが新たに生みだした“Heaven”は、“もう一度…”とは全く方向性の異なった、情熱的でアダルトな雰囲気をまとった一曲となった。男女の「大人な」出会いが色濃く表現され、思わずドキリとさせられる。

ラブトレイン feat.HI-D,椎名純平

既に誰かの恋人であっても、心のままに奪い去ってしまいたいというややイケない男の物語を、電車の乗り換えになぞらえた一曲。現在進行形のR&BをアプローチするHI-Dと、オーセンティックでソウルフルな歌声を聴かせる椎名純平という対照的なフィーチャリングも印象深い。

Rainy days feat.Hanah

8月にメジャーデビューを果たした女性シンガー:Hanahをフィーチャリングに迎えた“Rainy days”。“想い”のような別れではなく、喧嘩別れを想像させるような、リアリティのある別れの風景が歌詞に落とし込まれて、リスナーは思わず自分の過去を振り返ってしまうだろう。

Get Ready feat.Baby.M,MANDOZA

シンガーにBABY M、ラッパーにMANDOZAを迎えたダンサブルな一曲。ポジティヴティに溢れるリリックと、リスナーの背中を押すような前進へのメッセージに貫かれた一曲。

WA RA BE

ニューウェーブを思わせるような印象的な上ものにエレクトリックなビートで踊らせる“WA RA BE”。歌詞ももちろんライヴ仕様で、フックの部分では会場から沸き上がるクラップが想像できるアッパーな一曲。

オン ザ Mic ~Ruler達のタワゴト~ feat.K.I.N,Mummy-D,KOHEI JAPAN

フィーチャリングにK.I.N、MUMMY-D、KOHEI JAPAN、トラックにはRock-Teeと、童子-Tと交流が古くから強いメンツが集結したパーティ・チューン。かなりおふざけな部分も強く表れ、このアルバムで一番笑える作品である。

4 ever

ここから始まるメッセージ・ソング・ゾーンのトップには、アルバムと同タイトルの“4 ever”が付けられた。ある意味では「(心の)弱さ」が軸となっており、それを改めて見つめ直し、そこから新たな一歩を踏み出す為の、自分に言い聞かすようなリアルなリリックが胸に響く。

タイムカプセル

“タイムカプセル”というタイトル通り、この曲では童子-T(であろう)の少年時代から青春、そして現在までを、一つのストーリーとして描き上げられている。「夏休み好きな子とばったり/オフクロといるとこ見られてガッカリ」はパンチライン!

Fly High

童子-Tがリスナーに向けてのメッセージと感謝を表現した一曲。リスナーとのblogやライヴといったコミュニケーション、そしてもちろん「曲を聴いてもらう」という事実によって、更に高くまで昇っていけるという、童子-Tの原動力が表現されている。

終わりなき旅

短い曲でありながら、童子-T自身の胸の奥の言葉が真っ直ぐに表現され、リアルな世界観に彩られた“終わりなき旅”で、このアルバムは終わりを飾る。童子-Tの旅はこれからも続いていく。

▲ PAGE TOP