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●セカンド・アルバム「シャイン」の聴きどころ
たった2年間のめまぐるしい期間で、ヘイリー・エッカー(第1ヴァイオリン)、エイオス・チェイター(第2ヴァイオリン)、タニア・デイヴィス(ヴィオラ)、ゲイ=イー・ウェスターホフ(チェロ)がヘッドラインを賑わし、記録を塗り替えているのである。
「これまで最も売れたストリング・カルテット」「ポップ・チャートに現われた初の全員女性メンバーのストリング・カルテット」
「クラシカル・チャートから飛び出した初めてで唯一のカルテット」 ―― 要は、最高に成功したストリング・カルテットなのである。
パブリシティの注目から始まって、ボンドは当初、彼女らのセクシーなイメージと、いわばクラシックとは対極にあるロックン・ロール的なスタイルのせいで、世界のプレスには"クラシック界のスパイス・ガールズ"と呼ばれた。その後の200万枚を越えるアルバム・セールスを記録した今言えるのは、彼らの共通性は同姓であること。そして成功者であること、つまりガール・パワーの象徴ということだ。
熱いストリングの魔法を武器として、ボンドは今までに足を運んだあらゆる国において勝利をおさめてきている。雪に覆われたベルリンのブランデンブルグ門での新年の幕開け、テノールのスーパースター、ルチアーノ・パヴァロッティとの共演、アメリカやシンガポールでのMTVアウォードでの演奏、テレビ中継され、ニューヨークの交通を麻痺させてしまったタイムズ・スクエアやウォール街での演奏。
そしてカルテットがまた新たな動きを見せるときがやってきた。9ヶ月もの間ボンドのメンバーたちはセカンド・アルバム制作のためにスタジオにこもっていた。そのアルバムの発売は2002年秋。ファンの心を安心させるほどに親しみやすく、けれども快い意外性をもったも作品となった。
共同作業を行ったのは、マグナス・ファインズ(デビュー・アルバム『ボーン』を制作。最近ではプラネッツを手掛ける)、ユース(Dido,The Verveなどを手掛ける)、スチュアート・クリクトン(apollo440,カイリー・ミノ−グなど手掛ける)、アンディ・ライト(ジェフ・ベック、アトミック・キトゥンなどを手掛ける)、ロビン・トウェルフトゥリーの5人の異なったプロデューサーである。今回はメンバーたちも制作に大いに関わり、何曲かは作曲をしたり、共作したりしている。
くつろいだ気分にしてくれる数曲は、アラブ、アジア、アイリッシュの影響をブレンドさせたテイスト、またクラシック通は〈アルビノーニのアダージョ〉とボロディンの〈だったん人の踊り〉の2曲からインスピレーションを受けた曲を聞き取れるだろう。(〈アダージョ〉と〈ストレンジ・パラダイス〉)
レーシング・カーのエンジン音と心音を組み合わせた、〈スピード〉という現代風のロック・スタイルの曲にはエネルギーが込められ、ジプシーの影響を受けている。さらに言えば、ボリウッド的な音でもあり、近頃の熱狂的人気よりも前に生み出されていたものである。
コンサートではポピュラー作品も人気が高い。タンゴ(リベルタンゴ)のボンド・ヴァージョンもあり、また今までで最大の冒険と言えるレッド・ツェッペリンのストリングばかりのロック・クラシック〈カシミール〉のボンド・ヴァージョンもある。
「ファースト・アルバムが私たちをオーディエンスに紹介してくれました。そして、今回私たちは創作プロセスの各段階において以前より深くアルバムに関わっています。アルバムのアイデアを生み出すこと、作曲、共作から、プロデューサーたちとアルバムの最終的なサウンドを創りあげるところまでね」と語るのはタニア。「いわば、より説得力がある、私たちらしいアルバムなのです」。
ゲイ=イーがこう加える「これまでの2年の間に、私たちは沢山のことを学びました。ファースト・アルバムでは、みんながどう思うか、どんなものを気に入るかわからなかったのです。ニュー・アルバムでは制作において、より今っぽい感覚が溢れています。以前よりいろいろなものから影響を受けているけれど、でもボンドの特徴は充分生きています」。
ヘイリーもそう認めるように、ファースト・アルバム『ボーン』は何が可能で何が最高の結果になるかということを彼女らに示した。「このアルバムで私たちは、ファースト・アルバムに効果をもたらした一番強い音楽的要素やアイデアの多くを引き出し、そういった要素を発展させようとしたのです。このアルバムは、より若いオーディエンスに訴える、よりグルーヴィーでくつろいだバイブ感があると思います」。
ファースト・アルバムを発売して以来、ボンドはプロモーションやコンサート・ツアーで世界の旅を続けてきた。ゲイ=イーはこう語る「みんな家が恋しくなったけれど、一緒に旅をし、広い範囲の文化の興味深い人々にも数多く出会い、新しい友達も沢山つくって、最高に素晴らしい時間を過ごしました。またライヴ・コンサートをするのがとっても楽しみなんです」。
世界中を回る彼女らの旅は、彼女らの音楽に新鮮なエスニックな影響を与えた、と語るのはエイオス。「前もって知識がない場合は、足を運ぶあらゆる場所の、現地の音楽を前もって調べることにしています。こうすることで、私たちは新たな道に進むことができましたし、色々なアプローチ、サウンド、スタイルに対する耳が開けたのです」。
新しいステップに進みながらも、カルテットのオリジナリティは音楽業界では未だ比較的新たな現象であり、彼女ら自身もそのサウンドの正確な定義づけをすることに苦労している。ヘイリーは「定義づけや、カテゴリー分けをするということは本当に難しいことなんです――カルテットという形式自体、そして作曲のほとんどの部分はクラシック音楽が基礎になっています。それに世界中からのサウンド、メロディ、リズムのミックスを取り入れています」。「クラシックのストリングス・カルテットを中心に、多くの異なった文化的影響や音楽スタイルで特徴づけられたエレクトリック音楽ミックスなんです」と付け加えるタニア。
クラシック音楽でないという理由から、クラシック・トップ10から彼女らをはじき出したチャート関係者の不公平な合意にも彼女らは平静である。
「私たちはみなクラシックが大好きなんだけれど、私たちの音楽は形式的にも内容的にも、厳密にはクラシックではないのはわかっています」とエイオス。「事実、私たちはストレートなクラシック音楽を演奏すると口にしたことなど一度もありません。必然的に、クラシックの影響を受けています。複数の文化の音楽スタイルと音楽ジャンルをブレンドしているので私は単に'グローバル'と呼んでいるのだけです」。
それが何であれ、ここに実在するのは事実なのだ。
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