BIOGRAPHY

チャック・ベリー1979年の『Rock It』以来となるニュー・アルバム『チャック・ベリー/チャック 〜ロックンロールよ、永遠に。』には、10曲の新曲を収録。うち8曲がベリーの作詞・作曲によるものだ。ベリー自身がプロデュースを手掛けた本作は、セントルイス周辺の様々なスタジオでレコーディングが行われ、彼のバッキング・グループを長年務めてきたメンバーが参加。そこに含まれているのは、彼の2人の子供達、チャールズ・ベリーJr.(ギター)とイングリッド・ベリー(ハーモニカ、ヴォーカル)に加え、ジミー・マーサラ(40年間、ベリーのベースを担当)、ロバート・ロー(ピアノ)、そしてキース・ロビンソン(ドラムス)で、有名なブルーベリー・ヒル・クラブのレギュラー出演者としてベリーが行ってきた200公演以上のライヴで、20年近くに渡り彼を支えてきた面々だ。また本作には、ゲイリー・クラークJr.や、トム・モレロ、ナサニエル・ラトリフ、そしてチャックの孫チャールズ・ベリー3世もゲスト参加している。ライナーノーツを執筆したのは、高く評価されている作家で歴史家のダグラス・ブリンクリーだ。

モレロとラトリフの2人が参加している「Big Boys」について、ブリンクリーはライナーの中で「ギター奏者にとっての国歌」と称している。

「このアルバムのリリース準備に取り組んでいたここ数ヶ月、いや、実際にはここ数年、彼はそれを大いに楽しみ、満足感を覚えていました」と、ベリーの家族が今週初め、Facebookでコメントを発表した。「今、私達は深い悲しみの中におりますが、このアルバムが世界に向けて発表されることを何より望んで止みません。90年に及ぶ彼の生涯を讃えて偲ぶには、彼の音楽を通じて追悼する以上にふさわしい方法はないでしょう」

『CHUCK』収録曲の中には、起源が1980年代に遡るものもある。ツアーの合間の空き時間を使い、ベリーは何年もかけ、セントルイスの自宅スタジオでそれを練り上げてきた。年間を通じて本作に本格的に取り組んだのは、2014年のこと。2015年には健康上の理由から、ツアーおよびレコーディングの休止を余儀なくされたが、その後も制作を見守り、アルバム『CHUCK』の計画を続行。このアルバムを完成しリリースしたいという願いを叶えるため、ブルーベリー・ヒルの経営者で親しい友人のジョー・エドワーズと、家族からの協力を仰いだ。伝説の名曲「Johnny B. Goode」の精神的な続編で、ベリー家のギタリスト三世代がフィーチャーされている本作のハイライト「Lady B. Goode」から、娘イングリッドとのデュエットが胸を打つ、カントリー・バラード風の「Darlin’」に至るまで、『CHUCH』は正に“家族の仕事”である。

「父のアルバムに取り組めたのは、私にとって人生最高の経験の一つでした」と語ったのは、チャールズ・ベリーJr.だ。「父と交わした音楽に関する会話や、このアルバムを完成させるために父と共に過ごした時間は、私にとって一生の宝物です」。

3月18日にチャック・ベリーの訃報が伝わると、ローリング・ストーンズや元ビートルズのメンバー、バラク・オバマ前大統領、ビル・クリントン元大統領をはじめ、世界中のファンやミュージシャン仲間、そして各国首脳から、哀悼の言葉が次々と寄せられた。英ザ・タイムズ紙は、次のようにコメントしている。「今もロック・ギター演奏の核心的構成要素であり続けている一連のリフを生み出したのが、ベリーである。彼はそこに、粋で、洒落ていて、茶目っ気と遊び心のある、ティーンエイジャーの生活を鋭く描写した歌詞を融合させた。その結果出来上がったのが、非の打ち所のない完璧な3分間のポップ・ソング群であった」。英デイリー・テレグラフ紙は、こう述べていた。「チャック・ベリーは、誰もが認めるロックロール史上最高の偉人の一人であり、世界を揺るがし形作った、この音楽の創始者であった。彼の影響は、エルヴィスから、ビートルズ、ストーンズ(そしてバディ・ホリーからブルース・スプリングスティーンまで、ロックンロール界のあらゆるスター達)に及び、音楽の永遠性を確かなものとしている」。

ベリーは「黎明期からその後何十年にも渡り、ロックンロールを定義した」と断言したのは米ローリング・ストーン誌だ。米ニューヨーク・タイムズ紙は、ベリーを「卓越したロック理論家であり、概念的天才。自分達の求めるものが何かをキッズ自身が知る前に、それを理解していたソングライターであった」と評し、60年を経ても尚、彼の初期の曲は「無鉄砲かつ大胆不敵に聴こえる」と付け加えている。