BIOGRAPHY

ASHLEE SIMPSON / アシュリー・シンプソン


Bio


84年10月3日、アメリカのテキサス州生まれ。3歳からバレエをはじめ、11歳で名門スクール・オブ・アメリカン・バレエに最年少合格者として入学。在学中の2年間は単身で寄宿舎に入り、家族と離れ離れの生活を送った。13歳のときに家族全員でLAに移住。姉のジェシカ・シンプソンが歌手デビューし、アシュリーはそのバック・ダンサーとして世界中をツアー、14歳のときに日本を訪れている。17歳で女優デビュー、数多くのテレビ・ドラマに出演。19歳で待望のレコード・デビュー。MTVではアシュリーが女優からシンガーになるまでの過程を追いかけたリアリティ・ショー『MTVアシュリー・シンプソン~デビューへの道』が放送された。
デビュー・アルバム『オートバイオグラフィー』は全米初登場1位、全世界で約400万枚の売り上げを記録する大ヒットとなった。約2ヶ月間にわたる全米ツアーを行い、映画への出演、数々の賞を受賞し、アーティスト・キャリアを急速にステップ・アップしていった。そしてセカンド・アルバム『アイ・アム・ミー』を05年10月にリリース。サウンド面では80年代音楽の感覚を盛り込み、歌詞では自身のことを掘り下げたというそのアルバムからは、「ボーイフレンド」、「L.O.V.E.」(これはミッシー・エリオットがリミックスを手がけアーヴァン系ラジオ、MTVで大ヒットを記録した)などのヒットが生まれ、全世界で120万のヒットを記録した。
このヒットを引っさげワールド・ツアー、そしてロンドンではザ・キュアーのロバート・スミスも参加して話題を呼んだミュージカル『シカゴ』にも出演するなど積極的な活動とともに評価を高めていった。2007年1月にはスタジオでのアルバム制作に突入、当初彼女は、「トム・ペティ、ファレル・ウィリアムス、リンダ・ペリー、インディア・アリー、ウィル・アイ・アムに参加をお願いしている」とコメント、結果出来上がったアルバムには、ヒップホップ/R&Bシーンでのスーパー・プロデューサー=ティンバランド、チャド・ヒューゴ&ケナ(ファレル・ウィリアムス同様のネプチューンズ)、錚々かつ意外な名前が並んだ。まさに一皮向けた大人向けのアシュリー・シンプソン、完成である。




<『ビタースウィート・ワールド』・ストーリー>

アシュリー・シンプソンは現在とてもよい立ち居地に立っていると言える。これまでにリリースした2枚のアルバムは共にマルチ・プラチナム・アルバムとなり、共にチャート1位を飾り、アメリカ本国のみで累計400万枚を超えるセールスを記録、2度のツアーでは共にチケット完売。親密になってくれる家族と真摯なファン・ベースに恵まれ、女優としての世界でも着実に成長を続けている。そして今回のサード・アルバムでは、現時点の彼女自身を表現した音楽をつくりたかった、という。

「今の人生は文句ナシよ。まだ若者だし、毎日が楽しい。休みの日もエンジョイしてるわ。今回のアルバムではそんな状況をセレブレートする音楽をつくりたかったの」、とアシュリーは言う。2007年夏に今回のアルバム『ビタースウィート・ワールド』に着手して以来、アイデアを練り続けているとか。「みんながビートにのせてオシリ振ってダンスできる曲、そんな曲をつくりたいと思ってたわ。楽しい曲にしたかった。言ってみればパーティー的アルバムをつくりたかったの。」

そしてアーティストが「パーティー」という単語を発した時、思い浮かぶ人物はもちろんこの人、ティンバランドである。近年、ジャスティン・ティンバーレイクやネリー・ファータドのスマッシュ・ヒットを制作した最強プロデューサーである彼は、アルバム半数のトラックを手掛けているという(「マーダー」、「アウタ・マイ・ヘッド(アイ・ヤ・ヤ)」、「キャント・ハヴ・イット・オール」、「ルールブレイカー」など)。そして半数はチャド・ヒューゴ(fromザ・ネプチューンズ)と、エチオピア生まれである称賛高きシンセ・ホップ・プロフェッショナルのケナ(彼自身もザ・ネプチューンズのレーベル=スター・トラックのアーティストである)が手掛けている。

「スタジオは才能で溢れていたわ。それぞれの世界でトップにいる人たちと仕事ができてラッキーだった。最初スタジオに入った瞬間は緊張したけど、時間が経てばみんな、私の頼りになるお兄さん的存在になってくれた。自分の感じるフローで歌うんだとか、ハートの感じるままにブースに立つんだってアドヴァイスもくれたし。彼らがビートを担当してくれて、私はメロディーを考えた。仕事するときはみんな一緒になってアイデア出し合って、思い浮かんだことは遠慮なく言うって感じだった。私がヘンテコな曲で歌うことのないようにみんな気を配ってくれたし、みんなのこと信じてたから余計に自分を出すことができた。みんなどこに行っても、居心地の良い楽しい雰囲気をつくってくれたわ。」

そして彼女はヒップホップ・ヒーローたちとポップ・スターたちのペースの違いを経験することとなる。「これまでは早朝4時なんかまで仕事したことなかったわ。午後も遅くから始めたし、終わるのは夜明け頃って感じで。だから遂に毛布まで持参したの。夜遅くなると私って頭がモウロウとしてくるのね、だからそれが逆にスパイス効果を音楽に与えたりして。いつもの環境より一歩外に踏み出すことができて、新しいことにも挑戦できたから超クールだったわ。」

アルバムのリード・シングル「リトル・ミス・オブセッシヴ」制作はアシュリーとミスバスターによって舵が取られ、アシュリーのルーツをポップ/ロックへと戻してくれるものに仕上がっている。アルバム収録曲の「マーダー」は、何とも重苦しく感じるタイトルであるが、それは23歳のアシュリーが”ギャングスタ”になったことを意味するのではない。

「違うの、言葉通り意味することもないし、実話や脅迫にもとづいて決めたタイトルでもないわ」、と彼女は説明しながら笑う。「”マーダー(殺人)”を犯しても逮捕されない女の子のお話なんだけど、それを比喩に使ってるの。 ヴァースの後には悪意に満ちた笑いも入れる予定よ。」アルバム収録曲「ホット・スタッフ」では、女の子のずる賢さについて触れ、「ボーイズ」では男を指の先で操る生意気な女の子としての一面も見せ、「ルールブレイカー」では誤解を恐れずに言えば、”時折の非行の楽しさ”についても歌っている。彼女はこう言う。「映画『トゥルー・ロマンス』を観終わった後に感じるアドレナリンのような気持ちを表現したかった。世界中を敵に回して、ルールを破って、タトゥー入れたり、自分よりも強いヤツに向かって生意気なこと言ったりね。」

彼女自身のお気に入りはスロウ・ソングの「ネヴァー・ドリーム・アローン」だと言う。「とてもスウィートで気持ちがいっぱい詰まった曲よ。メロディーはピアノとストリングスが主で、それに私のヴォーカルをのせてるの。」

ことわざにもあるとおり、「いろんなものが変化するほど、変わらないものが目立ち始める」のは、彼女の場合でも同じなのかもしれない。フレッシュなテクニックや新しい才能に恵まれる反面、彼女は今でも変わることなくスタジオではキャンドルを灯し、居心地を良くするためにぬいぐるみも持参するという。1つ1つの作詞は彼女か、共同の場合でも必ず彼女が関わっているという。そして最終段階で決まる収録曲は、バラードとラジオ向けのアンセム曲、そしてダンス・フロアで盛り上がる曲に仕上がったという。

「曲を向こうから与えられて歌うってことはしたくないの。これは自分のアートでもあるしパーソナルなものでもあるから、曲作りには必ず自分が関わっていたいし、そうでなきゃ嘘だと思うから。」

アシュリーは引き続き個人的な経験や、育ってきた環境で目の当たりにしてきた事柄を歌詞にしているが、今回は以前に比べると観念的な内容も多く扱っているという。「歌詞に関しては、以前のアルバムよりも少し抽象的なスタイルで仕上げたの。でも今でも自分の経験や友達が体験したことについても歌っているし、歌詞の内容は多種多様で日常的。だからみんなが感情移入できると思うし、自分の人生にあてはめることができると思うわ。」

もう1つ変わらないのは、アシュリーの一番のお気に入りパートナーである。彼女の幼なじみでもあり、バンドのギターリストでもあるレイ・ブレイディーだ。「彼のことは100%信じてるわ。彼はすべてのトラックでプレイしてくれてるし、サウンドに関しては絶対彼の意見を聞いてるの。部屋の隅っこで彼と一緒にライヴ・ヴァージョンの曲づくりについても話し合ったりして。アーティストとしての私を常に次のレベルに上げてくれる人でもあるわ。」

そうやってブレイディーが彼女の人生にもたらし多大な影響を与えたバンドとはミッシング・パーソンズであったという。彼らの音楽を聴いてアシュリーの人生は一変したとか。「70年代や80年代の”強い女性”のイメージが大好きなの。強いんだけど同時にモロいところがある、それなのに彼女たちの音楽を聴いてると体を動かしたくなる。例えばクリッシー・ハインドやデビー・ハリー、パット・ベネターたちのように、女性がつくる音楽は過去2年間で私にとてもインスピレーションを与えてくれたし、私の今回のアルバムでもその時代を醸し出してる部分があると思うの。」

そんなロック/ポップ女神たちに対するアシュリーのトリビュートも、”女神”たちのダンス・パフォーマンスには及んでいないという。「私の次のツアーでは、特別なダンスの振り付けもしないし、煙を出す機械も用意していない。 80年代にインスピレーションを与えられたことと、80年代をそのまま真似するということは違うからね」、と彼女は言う。「ツアーでは、いろんな曲のアコースティック・ヴァージョンも試してみるつもりよ。コンサートを終えてみて、家でCD聴くのと何も変わらなかった、なんて後悔されたくないじゃない。みんなにはお金を出してコンサートに来てもらってるから、そんな風に思われると申し訳なく感じちゃうしね。」

今まで2度のチケット完売ツアーを成功させた彼女は、次のツアーが待ちきれないという。「この仕事で一番の楽しみなの。ライヴで歌うのは大好きだし、私の音楽を聴いてくれてるみんなの反応を間近で感じることも出来るしね。ファンのみんなが顔で見せてくれる反応や、私と一緒に歌ってくれる時なんか最高よ。みんなと一緒にこの”ジャーニー”を歩み続けたいから。」

ステージに上がるアシュリー・シンプソンの姿は最近では2006年にロンドンのウエスト・エンド製作版『シカゴ』で観ることが出来た。彼女が演じた主人公ロクシー・ハート役は、ブロードウェイの元祖ロクシー・ハート役、アン・ラインキングの後を継ぐものだった。この役を演じた女優の中では最年少のアシュリー・シンプソンの演技は冷静な優雅さが際立ったことがキッカケで、ブロードウェイ『シカゴ』の10周年記念義援パフォーマンス会にも招待されたという。この会にはブルック・シールズ、メラニー・グリフィス、リタ・ウィルソン、チタ・リヴェラ、ビービー・ニューワース、ジョーイ・グレイ、そしてラインキングがゲストとして招待されていた。アシュリー・シンプソン出演のこのほかのクレジットでは、エンターテインメント界の才能ある若者をストーリーにした独立プロダクション製作映画『アンディスカヴァード』や、米ドラマ『7thヘヴン』、『マルコム・イン・ザ・ミドル』、そして『セイヴド・バイ・ザ・ベル』などがある。

そして今、ビルボード社による「2004年アーティスト・オヴ・ザ・イヤー」に輝き、2度のティーン・チョイス賞を受け取り、数えきれないほどの雑誌表紙を飾り、MTVビデオ・ミュージック賞やティーン・チョイス賞、アメリカン・ミュージック賞などでのパフォーマンスを経て、誰もが待ち望んだ彼女のニュー・アルバムがリリースされることとなった。 こうしてアシュリー・シンプソンの未来は輝き続けるのだ。「いちばん大切なのは、私が心から楽しめているということ」、と彼女は言う。「みんなが共感できるような音楽をつくったり、周りの人たちと一緒に仕事するのが大好きなの。」