BIOGRAPHY

アリサ・ワイラースタイン Alisa Weilerstein

 アメリカのチェロ奏者、アリサ・ワイラースタインは天賦のこの楽器をヴィルトゥオーソ風に自由に駆使する力、技術的正確さに情熱的な楽才を兼ね備えた演奏で、世界中で広く注目を集めている。彼女の演奏の熱心さは解釈の自発性と感受性をもっており、いつも決まって賞讃されている。2011年9月に彼女はマッカーサー財団の特別会員に任命され、2010年にはデッカ・クラシックスの専属録音アーティストになった。発足して30年以上がたつこの有名なレーベルが契約した最初のチェロ奏者である。 彼女はマリン・オールソップ、ダニエル・バレンボイム、パブロ・ヘラス=カサド、サー・アンドリュー・デイヴィス、グスターボ・ドゥダメル、サー・マーク・エルダー、クリストフ・エッシェンバッハ、マンフレート・ホーネック、マレク・ヤノフスキ、パーヴォ・ヤルヴィ、ロリン・マゼール、ズビン・メータ、マティアス・ピンチャー、ユーリー・テミルカーノフ、ユライ・ヴァルクーア、オスモ・ヴァンスカ、シモーネ・ヤング、デイヴィッド・ジンマンらの指揮でアメリカ合衆国、ヨーロッパのすべてのメジャー・オーケストラと共演している。またソリスト、リサイタリスト、室内楽奏者として世界の主要な音楽祭に出演している。

 2012/13年のシーズンには再びニューヨーク・フィルハーモニック、トロント交響楽団、ナショナル交響楽団、サンフランシスコ交響楽団と共演し、またカーネギー・ホールでセント・ルークス管弦楽団と共演することになっている。ヨーロッパでも多忙なスケジュールが組まれており、パリ管弦楽団、ベルリン・シュターツカペレ(ダニエル・バレンボイム指揮)、ジェイムズ・コンロン指揮のフィンランド放送交響楽団、ウィーン交響楽団と共演することになっている。現在バルセロナ交響楽団のアーティスト・イン・レジデンツを務めている。このシーズンにはまたピアニストのイノン・バーナタン、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズとのアメリカ合衆国の16の都市へのツアー、マーラー・チェンバー・オーケストラ、ダニエル・ハーディングとのオーストリア、日本へのツアーなど、いくつかの注目すべきツアーに参加することになっている。

 2009年、アメリカ合衆国大統領夫人のミシェル・オバマから、ホワイト・ハウスでの、広く賞讃され注目されているクラシック音楽イヴェントに4人のアーティストのひとりとして招待された。このイヴェントは大統領夫人が主催するワークショップの学生も含まれており、オバマ大統領一家をはじめとした人々の前で演奏した。

 2008年、とくに優れた業績に対して贈られるリンカーン・センターのマーティン・E.シーガル賞を授与され、2006年のレナード・バーンスタイン賞の受賞者に指名された。2000年にエイヴリー・フィッシャー・キャリア・グラントを受賞し、2000/2001年、ECHO(ヨーロッパ・コンサート・ホール協会)の「ライジング・スター」リサイタル・シリーズ、リンカーン・センターの室内楽協会2の二つの有名なヤング・アーティスト・プログラムに選ばれた。1982年に生まれたアリサ・ワイラースタインは13歳の時チャイコフスキーの《ロココ風の主題による変奏曲》を引いてデビューした。1997年3月にニューヨーク・ユース・シンフォニーと共演してカーネギー・ホール・デビューを果たした。クリーヴランド・インスティテュート・オブ・ミュージックでリチャード・ワイスに師事し、ヤング・アーティスト・プログラムを卒業した。2004年5月、ニューヨークのコロンビア大学をロシア史の学位を取得して卒業した。2008年11月、国際若年性糖尿病研究財団のセレブリティ・アドヴォケイト(Celebrity Advocate)になった。(2012年7月現在)

訳:長谷川勝英